胃痛でお困りの方へ
緊急性の高い胃痛
- 激しい胃痛(立っていられない・冷汗が出るなど)
- 吐血や嘔吐を伴う
- 歩行や動作で痛みが増す
- 患部を押して離す際に痛みが強くなる
早期の受診が必要な胃痛
- 慢性的な胃痛がある
- 胃もたれや胸やけが伴う
- 一時的におさまるが、ぶり返す
- 発熱、下痢や便秘の症状が伴う
- 空腹時や食後など、決まったタイミングで胃が痛くなる
当院では、高度医療機関で長く消化器疾患の研鑽を積んできた専門医が診療をしています。胃痛があって検査を受けても異常がないと言われたといった場合も、専門性の高い治療を行うことで改善可能なケースもよくあります。胃痛でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
胃痛の原因
食生活
暴飲暴食、油分やタンパク質の多い食事、唐辛子など刺激の強い香辛料、アルコールなどを摂取すると胃酸の分泌が促進されます。胃酸分泌が過剰になると胃粘膜が傷付いて、胃痛を起こします。
ストレス
消化管の機能は自律神経がコントロールしています。強いストレスがあると自律神経のバランスが崩れ、胃の蠕動運動低下や胃酸の過剰分泌が起こり、胃粘膜が傷付いて胃痛を生じます。
ピロリ菌
ピロリ菌は幼少期に感染し、慢性的な炎症を起こします。胃の中には強い酸性の胃酸があって細菌は生息できない環境ですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素で尿素を分解してアンモニアをつくり、周囲を中和して生息を可能にしています。ピロリ菌感染による慢性的な炎症で胃粘膜が傷付き、胃痛を起こします。
非ステロイド系消炎鎮痛薬などの投与
痛み止めなどに使われている非ステロイド系消炎鎮痛薬の投与によって胃に炎症を起こし、胃痛を生じることがあります。処方薬だけでなく市販薬にも含まれていることがありますので、薬を服用しはじめてから胃痛が生じた場合には注意が必要です。また、他にも胃痛を起こす薬があります。
胃痛の症状を起こす消化器疾患
急性胃炎
過剰なアルコール摂取といった暴飲暴食、ストレス、細菌やウイルスの感染などによって起こることが多くなっています。急激に強い痛みを起こし、胸やけ、吐き気、膨満感などを起こすこともあります。
慢性胃炎
主な症状は胃痛、吐き気、胸やけ、胃のむかつきなどですが、強い症状を起こさないこともあります。胃の炎症が長期間続くと萎縮性胃炎に進行し、胃がん発症リスクが上昇してしまいます。ピロリ菌感染によるものが多く、その場合は除菌治療に成功することで再発を効果的に防止できます。
逆流性食道炎(GERD)
胃酸などを含んだ胃の内容物が逆流し、食道で炎症を起こし、胃痛や胸やけ、呑酸(酸っぱいげっぷ)、咳、飲み込みにくさなど多彩な症状を現します。加齢によって起こりやすいのですが、他にも肥満や姿勢の悪さ、脂肪の多い食事なども発症リスクになります。再発しやすいため、消化器内科を受診してしっかり治すことが重要です。
胃潰瘍
炎症を繰り返して胃粘膜がえぐれるように深く傷付き、びらんや潰瘍を起こしています。ピロリ菌感染、非ステロイド系消炎鎮痛薬などの投与などが主な原因です。胃痛、吐き気・嘔吐、吐血・下血、貧血などを起こすことがあり、悪化すると胃に穴が開く穿孔を起こす危険な状態になることがありますので、早めに受診してください。
十二指腸潰瘍
原因や症状は胃潰瘍とほぼ同様ですが、胃潰瘍は食後に痛みを起こすことが多く、十二指腸潰瘍は空腹時の痛みを起こしやすい傾向があります。十二指腸壁は胃壁に比べて薄いため、穿孔のリスクが高く、重症化する前の受診が不可欠です。
原因のわからない胃痛は機能性ディスペプシアの可能性も
機能性ディスペプシアは、胃カメラ検査で粘膜を詳細に調べても病変が発見できませんが、胃痛・胃もたれ・膨満感・吐き気などの症状が慢性的に続く疾患です。他にも血液検査などでも炎症を疑うような結果は現れません。
蠕動運動などの機能不全や知覚過敏によって起こっていると考えられており、適切な治療で症状を改善できるようになってきていますので、お悩みがある場合にはお気軽にご相談ください。
機能性ディスペプシアの治療は、症状や状態に合わせた薬物療法を行います。症状を緩和して再発を防ぐための生活習慣改善も重要です。薬物療法では、主に消化管運動機能促進薬、胃酸分泌抑制薬、胃酸中和薬などを処方します。
生活習慣改善は、食事制限が中心になります。油分やタンパク質、刺激の強い香辛料、コーヒー・紅茶・抹茶・エナジードリンクなどカフェインを多く含むもの、甘いものを控えてください。節酒・禁酒、禁煙も症状改善や再発予防に効果的です。
ピロリ菌除菌
ピロリ菌感染陽性の場合には、除菌によって機能性ディスペプシアの症状が改善しやすくなるとされています。ただし、現在は機能性ディスペプシアの治療としてのピロリ菌除菌が保険適用されていないため、保険適用外の自費診療になります。
胃痛の検査
症状などについて丁寧に伺った上で必要な検査を行い、原因疾患の有無を確かめます。問診の内容や検査結果を総合的に判断して診断しています。
血液検査
炎症や貧血の有無を調べます。
胃カメラ検査
先端に小さなカメラが付いた内視鏡スコープで、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察します。微細な病変も発見可能であり、病変の組織を採取して病理検査を行うことで確定診断につなげることもできます。また採取した組織を調べて、ピロリ菌感染の有無を確かめることも可能です。
胃痛を放置するのは危険です
胃痛を起こす疾患にはさまざまなものがあり、深刻な疾患でも軽度の症状しか起こさないケースがあります。胃痛は日常的に起こりやすい症状ですが、慢性的に続く場合や、いつもと違う症状があった場合にはお気軽にご相談ください。
どんな疾患でも早期治療で楽に治せる可能性が高くなりますが、胃がんは特に早期発見と治療で完治も望めます。早期発見につなげるためにも胃の違和感や痛みがある場合には、放置せずにできるだけ早く消化器内科を受診して、精度の高い検査を受けてください。
当院では、楽に受けていただける鎮静剤を用いた胃カメラ検査が可能です。専門医が高度な機器を使って精緻な検査を行っていますので、安心してご相談ください。