大腸ポリープ
大腸ポリープにはいくつか種類がありますが、基本的には大腸腺腫と言われるものが大腸ポリープとなります。大腸腺腫は大腸がんの前がん病変と言われていますが、内視鏡での切除が可能です。大腸腺腫を内視鏡的に切除することで大腸がんの罹患率を70~90%低減させ予防することが可能であると報告されています。
当院での大腸カメラはポリープの大きさにもよりますが、1cm程度のポリープであれば当日切除が可能です。大きなポリープの場合には入院での切除が望ましいため、連携病院にご紹介いたします。大腸ポリープおよび大腸がんは近年増加傾向で若年化していることから、当院では30代や40代の方の検査も積極的に行っています。ご心配な方は外来でご相談ください。
大腸ポリープ
切除後
症状
ポリープには、痛みや違和感などの自覚症状がほとんどなく、ある程度大きくなると硬い便が擦れて出血し、血便や便潜血検査陽性になることがあります。
便潜血検査陽性で精密検査を行った場合、痔が発見されることが最も多いのですが、次に多いのは大腸ポリープです。大腸ポリープで最も多い腺腫は放置していると大腸がんになることがありますので、発見した検査中に切除することで将来の大腸がん予防につながります。
ただし、軟らかい便が通過する場所にできた場合は、出血を起こすことがなく、便潜血検査でも陰性になります。また進行した大腸がんがあっても便潜血検査陰性になることもありますので、注意が必要です。
大腸カメラ検査は直腸から盲腸までという大腸全域をすみずみまで詳細に確認することができ、早期の大腸がんや前がん病変の発見が唯一可能な検査です。
早期発見と治療、予防によって生活の質を守ります
大腸ポリープ切除
大腸内視鏡検査では、発見した病変をその場で切除できます。また切除した組織を回収して病理検査を行うことで確定診断も可能です。
検査中に前がん病変の大腸ポリープを切除できるため、検査・治療が1度でできます。将来の大腸がん予防にもつながります。また、検査中の大腸ポリープ切除は日帰り手術として行われるため、入院の必要もありません。切除自体の所要時間も10~20分程度です。別の日にスケジュールを作る必要もありません。また、事前の下剤服用や食事制限も1度で済むので、患者様の時間的・心理的負担も軽減できます。
ただし、ポリープのサイズや数、形状などによっては、別の日の手術や、入院による手術が必要になるケースがあります。その場合にも当クリニックの検査担当医師が所属している連携病院ないし連携高度医療機関をご紹介し、スムーズに適切な治療を受けていただけるようにしています。
ポリペクトミー
内視鏡スコープの先からスネアと呼ばれるワイヤーを出し、ポリープにかけます。スネアで締め付けて高周波電流でポリープを焼き切ります。通電によって電気メスのような止血効果を得られますが、下層に熱が伝わって術後に炎症・出血・穿孔を起こすリスクがあります。
コールドポリペクトミー
スネアで締め付ける力によって切除し、通電を行わないため術後の炎症・出血・穿孔リスクが低減できます。切除時の出血はあっても自然に止血します。
内視鏡的粘膜切除術
平坦でそのままではスネアがかけられないポリープの切除に使われます。ポリープの下に生理食塩水を注入し、ポリープを持ち上げてからスネアをかけます。下に生理食塩水があって熱が伝わらないため、通電しても安全に切除することが可能です。
全周切開内視鏡的粘膜切除術
平坦でサイズが大きいポリープに用いる切除方法です。ポリープの下に生理食塩水を注入したら、スネア先端で内視鏡的粘膜下層剥離術のように粘膜を切開します。切開によってスネアをかけやすくしたら再度生理食塩水を注入して通電し切除します。20mm程度の大きなポリープも一括で遺残がほぼない確実な切除が可能になります。創部が大きい場合には、クリップで閉鎖します。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
比較的広い範囲の扁平なポリープや、病変の深さが粘膜内にとどまっている分化型の大腸がんに有効な手法として、高度医療機関で最近行われることが増えてきています。内視鏡的粘膜切除術と似ていますが、この手法ではフック状のナイフを使用します。病変周囲を少しずつ剥離していくことができるため、サイズが比較的大きい大腸がんも開腹せずに切除できます。現在は可能な医療機関がまだ少ないのですが、今後主流になっていくと考えられています。術後、切除した場所から出血を起こす可能性がありますので、1週間程度は入院による術後の安静が必要です。当クリニックの検査担当医師が所属している連携病院でもESDを行っていますので、検査から治療まで安心して診療を受けていただけます。
切除後の注意点
入浴
当日はシャワーのみ可能です。入浴は翌日から可能になります。
食事
当日は油分が多いもの、刺激の強い香辛料を避けてください。
飲酒
医師が指定した期間は、禁酒してください。
運動
激しい運動、腹圧がかかる運動は医師の許可が出るまで再開しないでください。
旅行・出張・長距離移動
公共交通機関を利用する、ご自分で車を運転するなど、長距離の移動は腸に負担をかけ、出血リスクが上昇します。また、飛行機は特に気圧変化が大きく出血リスクが高くなるため、短時間でも避けてください。さらに、遠方に移動してしまうと、万が一の際に適切な対応が遅れてしまう可能性があります。一般的に、術後1週間程度は旅行・出張・長距離移動を避けてください。