胃潰瘍の食事で気をつけるべき点は?食べて良い食事・避けたい食事

「胃潰瘍になったときに食事で気をつけるべきことはある?」
「胃潰瘍でも食べていいものと食べてはいけないものが知りたい」

胃潰瘍になった場合、胃の負担を少なくするために食事に気をつける必要があります。少しでも治りを良くするためにも、どのような食事なら摂っていいのか気になっている方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、胃潰瘍の方が食事のときに気をつけるべきことや、どのような食事なら摂っていいのかなどについて詳しく紹介します。

1章、胃潰瘍とは?

ひと昔前までは、胃潰瘍になると手術が必要になるケースが少なくありませんでした。しかし、現在は胃酸を抑える薬が開発されたことにより、胃潰瘍で手術になることはとても少なくなりました。

ところで、胃潰瘍がどのような病気なのかをご存知でしょうか。手術がほとんど必要なくなったとはいえ、軽視してよい病気ではありません。

1-1、胃潰瘍は胃壁が傷つくことで起こる

胃潰瘍とは、胃壁が傷つく病気のことです。胃の中には、pH1と非常に酸性度の高い胃酸が存在します。健康な方であれば胃酸から胃を守る粘液が十分に分泌されているため、胃酸によって胃が傷つくことはありません。

しかし、何らかの原因によって胃酸を守る働きが落ちたり胃酸の量が増えたりすると、胃酸によるダメージを受けて胃潰瘍になってしまうのです。

通常、胃酸のことを攻撃因子、粘液のことを防御因子と呼びます。普段は攻撃因子と防御因子のバランスが保たれていますが、バランスが崩れると胃が大きなダメージを受けてしまいます。

1-2、胃潰瘍になる原因

胃潰瘍は、胃酸によって胃壁が傷つくことで起こるものです。胃壁が傷つく原因としては、次のものが挙げられます。

・ピロリ菌の感染
・薬の副作用
・ストレス
・飲酒
・喫煙

ピロリ菌は、胃潰瘍の発症と大きく関わっている細菌です。通常、細菌は胃酸によって死滅してしまいますが、ピロリ菌の場合は胃酸がある環境でも生き続けます。ピロリ菌はウレアーゼという酵素を分泌することでアンモニアを作り出し、胃酸を中和することができるのです。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の影響で胃潰瘍を発症することもあります。ロキソプロフェンやジクロフェナクなどの成分は、胃粘膜を保護するプロスタグランジンの産生を抑えてしまうので、胃の防御力が低下して胃潰瘍が発生しやすくなるのです。このほか、ストレスや飲酒、喫煙なども胃潰瘍の原因となります。

1-3、胃潰瘍で見られる症状

胃潰瘍で見られる症状としては、次のものが代表的です。

・上腹部不快感
・胸やけ
・げっぷ
・呑酸
・嘔吐
・食欲不振
・口臭
・背中の痛み

人によって現れる症状はさまざまですが、上腹部不快感は多くの方で見られます。みぞおちのあたりに不快感が出たり痛くなったりなどの症状が多いでしょう。

胃潰瘍が悪化すると、上記の症状のほかに吐血やタール便が見られることもあります。潰瘍の部分からの出血量が多くなると、めまいや頻脈など貧血の症状が出ることも少なくありません。

1-4、胃潰瘍の診断方法

胃潰瘍かどうかを調べる代表的な方法には、バリウムによるX線検査(胃透視)と内視鏡検査(胃カメラ)があります。最近では、胃の中を直接観察でき、さらに組織検査もできる内視鏡検査を行うことが一般的です。

内視鏡検査であれば胃にできているものが本当に潰瘍なのか、それともがんの可能性があるのかを見極めることもできます。潰瘍のように見えてそうでない場合もあるため、しっかりと検査を行うことが大切です。

胃潰瘍の診断に関しては、「なぜ胃潰瘍の診断には胃カメラが必要なのか?医師が解説」でも詳しく解説していますので、ぜひご参考にしてください。

胃カメラについては下記の「マンガでわかる!胃内視鏡検査(胃カメラ)」でも詳しく解説していますので、ぜひご参考にしてください。

2章、胃潰瘍の方が食事で気をつけたいこと

私たちが口にしたものはすべて胃に入ります。食べるものによっては胃に負担をかけてしまうことがあるため、胃潰瘍の方は食事の内容に気をつけましょう。

2-1、刺激が強い食品を控える

香辛料やわさび、コーヒーやアルコールなど、胃に刺激を与える食品は控えてください。胃の粘膜が刺激されて症状が悪化する可能性があります。また胃酸の分泌量が増えて胃が傷つきやすくなることもあるので注意しましょう。

どうしてもコーヒーやアルコールを飲みたい方は、空腹時を避けて飲むようにしてください。少し薄めのコーヒーにしたり、ミルクを加えて飲んだりするのもおすすめです。

2-2、消化しやすい食品を選ぶ

胃の負担を軽くするために、消化の良い食品を食べましょう。よく噛まないと食べられないような硬いものは消化が悪いので避けてください。

たとえば、イカやタコ、貝類などです。食物繊維が多い食品も消化が悪いので気をつけましょう。消化が悪い食品を食べると、食べ物が胃にとどまる時間が長くなり、胃の負担が大きくなってしまいます。

2-3、食事を複数回に分けて取る

一度に食べ物を多く取るのはおすすめできません。食べ物をたくさん取るほど、胃の負担は大きくなります。1日3食の方が多いかと思いますが、できれば1日4~5食に分けて食べるようにしてください。

一度に食べる食事の量を減らすことで胃の負担を軽くできるほか、胃が空っぽになって胃酸の濃度が上がるのを抑えられます。

2-4、塩味や酸味が強い食事を控える

塩味や酸味の強い食事は、胃酸の分泌を亢進させるため胃に負担をかけてしまいます。できるだけ薄味の食事にし、酸味が強いものは控えるようにしましょう。

ただし、食欲がない場合は酸味のある食事を少量摂ると、食べられるようになることがあります。摂りすぎないように気をつけながら、うまく活用していくとよいでしょう。

2-5、早食いせずよく噛んでゆっくり食べる

早食いは禁物です。ゆっくりよく噛んで、食べ物を小さくして唾液と一緒に飲み込むようにします。そうすることで消化されやすくなるので、胃にムダな負担をかけてしまうことがありません。

何かをしながら食べるのも控えましょう。食べること以外に気を取られて、よく噛まずに飲み込んでしまったり、満腹中枢が働かずに食べすぎてしまったりすることがあります。

2-6、熱いもの、冷たいものを控える

熱すぎるもの、冷たすぎるものを摂ると胃の刺激となりやすくなります。熱すぎるものは冷まし、冷たすぎるものは少しぬるくなってから摂るようにしましょう。また、一度に大量に口に運ばず、少しずつ食べることも大切です。

3章、胃潰瘍で食べていい食品・避けたい食品

基本的に、胃潰瘍の方が食べてはいけない食品はありません。ただし、できれば避けたいもの、これなら胃に負担をかけにくい食べものというのは存在します。

胃潰瘍の症状を抑えてできるだけ負担を最小限にするためにも、食べてもいい食品と避けたい食品はある程度押さえておきましょう。

3-1、食べてもいい食品

次の食品は胃に負担をかけにくいものです。

食べてもよい食品
穀類白飯、おかゆ、うどん
いも・デンプン類じゃがいも、里芋、やまいも
菓子類プリン、ババロア、カステラ、ゼリー
果物バナナ、りんご
魚介類白身魚、白はんぺん
肉類鶏肉、赤身肉(脂身が少ないもの)
半熟卵、茶碗蒸し
豆類豆腐、高野豆腐、豆乳
乳製品牛乳、ヨーグルト、チーズ
野菜ほうれん草、人参
油脂サラダ油、マヨネーズ、バター

3-2、避けたい食品

次の食品は、胃に負担をかけやすいものです。できるだけ控えましょう。

避けたい食品
穀類玄米、ラーメン、すし飯、きのこご飯
いも・デンプン類ポテトフライ
菓子類ケーキ、ようかん、チョコレート
果物柿、アボカド、ドライフルーツ
魚介類たこ、イカ、うなぎ、さば
肉類ばら肉、ベーコン、鶏皮
固茹で卵、生卵
豆類油揚げ、厚揚げ、がんもどき
乳製品生クリーム
野菜ごぼう、たけのこ、セロリ、きのこ、海藻
油脂ラード、フライ、天ぷら

胃にやさしいお食事に関しては、「胃腸に優しい食事を食べるコツ|自炊、中食、外食で使える」でも詳しく解説していますので、ぜひご参考にしてください。

4章、胃潰瘍の方が食事以外で気をつけたいこと

胃潰瘍は食事だけで悪化するわけではありません。症状を悪化させないためにも、次のことにも気をつけて過ごしましょう。

4-1、喫煙をしない

喫煙は胃潰瘍を悪化させるのはもちろん、胃潰瘍の発症要因としても考えられています。タバコに含まれているニコチンは胃酸の働きを促進し、さらに防御因子を低下させてしまうことが分かっているのです。

喫煙者ではピロリ菌への感染率が上がるという報告もあるため、喫煙している方は禁煙を心がけましょう。

4-2、解熱鎮痛薬の使いすぎに注意する

ロキソニンやジクロフェナクなどの解熱鎮痛薬は、胃粘膜を保護しているプロスタグランジンの産生を抑制するため、胃に負担をかけることがあります。数回使った程度で胃潰瘍を発生することはないと考えられますが、使いすぎには注意しましょう。

日本リウマチ財団が行った調査によると、解熱鎮痛薬(NSAIDs)を3か月以上服用している方のうち、15.5%で胃潰瘍が見られました。解熱鎮痛薬を慢性的に使わないよう注意が必要です。

4-3、ピロリ菌がいる場合は除菌する

ピロリ菌は胃潰瘍を発症させる原因の1つです。感染していることが分かった場合は、早めに除菌を行いましょう。胃酸を抑える薬と抗生物質を服用することで除菌ができます。

そのままにしておいてもピロリ菌が自然にいなくなることはありません。除菌しないまま過ごしていると胃潰瘍の再発にもつながりますので、必ず除菌をしましょう。

5章、胃潰瘍のときに絶食するのはあり?

悪心や嘔吐の症状が激しい場合は、絶食して胃を休ませたほうが良いと考えられます。しかし、長期間にわたって胃が空っぽの状態が続くと、かえって胃の働きが活発になり負担が大きくなることもあるものです。

むやみに絶食するのではなく、症状がつらいときだけ食事を控えるようにするなど、臨機応変に対応しましょう。

6章、胃潰瘍を予防するにはどうしたらいい?

胃潰瘍を予防するためには、胃に負担をかけない生活をすることが一番です。まずは生活習慣の見直しから始めてみましょう。

6-1、暴飲暴食をしない

食事をする際は、お腹がいっぱいになるまで食べず、腹7分目から8分目を目安に食べるようにしてください。食べ過ぎや飲み過ぎは胃に負担をかけてしまいます。また、急いで食べたり飲んだりするのも控えましょう。ゆっくりと時間をかけて適量を口にすることが大切です。

6-2、刺激物を控える

アルコールやカフェイン、辛いものや酸っぱいものなど刺激物はできるだけ控えてください。胃を直接刺激したり、胃酸の分泌を促進したりするため、胃に負担がかかりやすくなります。

6-3、禁煙する

喫煙は胃酸の分泌を亢進させる原因です。胃酸の量が増えると胃壁がダメージを受けやすくなります。自力での禁煙が難しい場合は、市販のニコチンパッチを使ったり、禁煙外来などに通ったりするとよいでしょう。

まとめ

胃潰瘍になったときの食事で気をつけるべきこととしては、次のものが挙げられます。

・刺激が強い食品を控える
・消化しやすい食品を選ぶ
・食事を複数回に分けて取る
・塩味や酸味が強い食事を控える
・早食いせずよく噛んでゆっくり食べる
・熱いもの、冷たいものを控える

これらのことに気をつけ、胃に負担がかかりにくい生活を送るようにしましょう。食生活が胃潰瘍を誘発したり症状を悪化させたりすることもあるため、きちんとした治療を受けながら食事にも気を使うことが大切です。

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