消化器内視鏡クリニックでの看護師の役割

こんにちは。内視鏡看護師のNです。

今回は消化器内視鏡看護師クリニックでの看護師の役割について説明したいと思います。

私自身、内視鏡看護師の世界に入ったものの、入職当初は内視鏡においての看護師の役割について想像すらもついていませんでした。ただ「検査を受ける患者さんの検査中の介助をすること」と想像しており、正直なところ内視鏡のイメージは背中をさすってあげたり「苦しくないですか」など声かけを行ったりするくらいと思っていました。

実際に私が内視鏡看護師になってみて感じたことは、「ただ介助に入るだけではない」ということ。検査までの患者さんのケアを行うことが看護師にとって大切なことであることを知りました。

今回は私が内視鏡看護師をしていて感じたこと、思ったことを中心に「消化器内視鏡クリニックでの看護師の役割」についてお話ししていきたいと思います。

1、内視鏡看護師の役割

消化器内視鏡での看護師の役割と聞くと難しく感じるかと思いますが、大きく分けて三つあります。

これら三つを一つずつ説明していきます。

1-1、スムーズな内視鏡検査を行うための準備

患者さんに安心して胃カメラや大腸カメラなどの検査を受けていただくためにはできるだけ苦痛の時間をなくすことが大切です。つまり、スムーズに検査を行うことです。そのためには事前準備（物品の在庫管理や朝の薬液準備なども含む）や、医師やメンバー間への申し送りを正確に行い滞りのない検査を行うことが必要です。

ただ大切なのは、スムーズといっても適当にしてただ早いだけではスムーズとは言えません。人は焦るとミスを起こしてしまいやすいものです。ミスが増えることはかえって患者さんを不安にさせてしまうので気を付けましょう。ミスを起こさないようにするためにも事前の準備をしっかり行い、患者さんを迎え入れる準備を大切にする必要があります。

2-1、内視鏡検査に対して不安を持つ患者さんの精神的フォロー

最初のご紹介で私自身の経験を説明しましたが、内視鏡検査を私自身がうけるという患者の立場になりました（「私が内視鏡看護師を目指した理由」を参照してください）。その上で、実際に内視鏡看護師になったことで感じたことは、皆さん検査前はとにかく不安が大きいということです。

「何か見つかるかもしれない」という状況がとても不安にさせます。患者さんの不安な思いを汲み取り、不安を少しでも軽減するために

ということに気をつけて患者さんの精神的なフォローを行うことを大切にしたいと考えています。

３．内視鏡検査中、内視鏡検査後のバイタルチェック

当院では鎮静剤を使用した内視鏡検査をされる方が大半です。薬液注入は看護師または医師のみ実施できます。鎮静剤の大きな利点は苦痛の軽減です。

例えば、胃カメラであれば喉の奥にカメラが触れることによる「吐き気」「嘔吐」などの反射的苦痛や、胃の粘膜を広げるために空気を入れて検査をするときに曖気（げっぷ）を我慢することや腹部を押されるような苦痛を和らげることができます。

大腸カメラであればカメラを挿入する際に大腸を縮めたり伸ばしたり、腸の中を広げようと炭酸ガスを入れておなかが張るような苦痛を感じたり、肛門へ異物（カメラ）が入ることによる便意のような不快感を和らげることができます。

ただし鎮静剤を使用することで副作用が起こることもあります。大きな副作用としては呼吸が弱くなってしまう呼吸抑制と血圧の低下です。

なぜ呼吸抑制や血圧低下が起きてしまうのかは、今後の記事で詳しく書かせていただきたいと思います。このような副作用として身体に起こる可能性があるため鎮静剤を使用する場合は生体モニターでの管理が大切です。内視鏡検査中、看護師はモニターに注意して患者の観察を行い、鎮静剤の投与量を指示する医師と調整していく必要があります。

以上簡単ではありますが、内視鏡看護師としての役割について解説いたしました。さらに詳細な役割・仕事内容に関しては今後のブログ内で解説していきたいと思います。

参考文献　「一般社団法人　日本消化器内視鏡学会HP」https://www.jges.net/citizen/faq/general_06　

2、当クリニック看護師の一日の流れについて

内視鏡室には夜勤がなく、1日の検査・治療の人数が決まっているため残業もほとんどありません。夜勤がない言うことは非常にありがたいことですが、日中の勤務は比較的忙しく立ち回ってはいます。

当クリニックでの看護師の一日の動きについて説明します。

8：30始業、準備

当日担当部門を確認。（検査介助、検査説明、下剤説明、リカバリー、鎮静剤用の点滴ルート確保）

予約人数最終チェック、病院内で飲まれる方の下剤準備、鎮静剤投与の準備（鎮静剤薬液準備、ルートキープ用生理食塩水の準備）、内視鏡カメラの準備をみんなで手分けして行います。

8：40検査開始

胃カメラは8：40より開始となります。それぞれの担当部門につき、最終確認または患者様対応、他メンバーの補助を行います。

12：00～14：00の間に休憩

午前の診察が終了し、午後の診察は１４時より開始となります。この時間には病院内で下剤を飲まれている方の検査を開始しています。おなかの中がきれいになった患者さんからご案内をしているため、私たちスタッフは引き続き検査を続けながら交代で休憩を取っていきます。

14：00～17：30

自宅で下剤を飲まれている方と病院内で下剤を飲まれている方の検査を交互に行います。また、午前同様検査説明を行います。

すべての検査終了～終業まで

看護師、スタッフで協力しながらクリニックの片付けやトイレ掃除、次の日の患者を確認し情報収集を行います。

参考サイト「東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院」HP

基本的に担当部門は一日中変わりません。私は黙々と点滴のルート確保（針入れ）をしたり、検査の説明をしたり、検査室へ入り検査介助をしていました。おかげさまで以前よりもはるかにルートキープの技術があがったので針処置の技術を磨くことができています。

最後に

内視鏡看護師は専門的な分野であるためもちろん新たな知識を勉強することも大切です。ですが基本的な看護技術（採血、バイタルサイン測定）ができれば、さほど難しいこともないので安心して内視鏡看護師を目指しても良いと感じます。

ルーティンワークが嫌いでない方や、医師、検査技師、看護助手、管理栄養士、受付と多職種連携でチームワークを取りながら働くのが好きな人にも内視鏡室は向いています。

私も以前の病院では内視鏡に関わったことはほとんどありませんでしたし、ルートキープや採血は苦手、鎮静剤投与をすることも今まで経験したことありませんでしたが現場の先輩たちに教えていただきながらできるようになりました。先輩方もみなさん内視鏡初心者の状態から内視鏡看護師を目指しています。

今回の記事で少しでも内視鏡看護師について興味が沸いたり、なんとなくイメージがついたりできるようになっていたら嬉しいです。

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