「大腸のCT検査って、何をすることなの?」
「大腸CT検査と大腸カメラとの違いは?」
「できるだけ痛くない検査がいいんだけど・・」
このような疑問をお持ちではありませんか?
診察を受けるとき、検査についていろいろ説明があるかもしれません。しかしながら、患者さんとしては、医師から説明されても話が難しくて、なんとなく返事をしている部分もあるのが実際のところでしょう。
本記事では『大腸CT検査』と『大腸カメラ』について解説していきます。どちらの検査も大腸を調べるのが目的です。ではどちらかの検査を選ぶとき、何を基準にしたら良いのでしょうか?
本記事を読み、あなたにベストな選択はどちらなのか、判断の参考にしてください。
目次
1章、大腸CT検査(CTコロノグラフィー)とは
『大腸CT検査』について解説していきます。
大腸CT検査とはその名の通り、大腸をCT検査で撮影して調べる検査の方法です。大腸CT検査は、CTコロノグラフィーとも言います。
大腸CT検査は、肛門から細いチューブを数cm挿入して炭酸ガスを注入し、大腸内を膨らませてCT撮影します。撮影したCT画像をもとに3次元画像を作成し、画像診断を行います。
ガスを注入するとお腹が張って少し苦しいような感覚になりますが、検査を終えて病院を出る頃にはガスが抜けてもとに戻るでしょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)と比べると前処置が簡単で、痛みも少ないため検査にかかる負担は軽いです。また、大腸癌など過去の病気が原因で腸が狭くなっている(狭窄している)方や、腸の長さが長すぎる方は、内視鏡の挿入が困難であるため、大腸CTをすすめられることがあります。
1-1、大腸CT検査を勧められるのはこんな人
医師から大腸CT検査をすすめられるのは、主に以下のような病気が疑われるときです。
・大腸ポリープ
・大腸憩室炎
・クローン病
・潰瘍性大腸炎
・過敏性腸症候群
1-2、大腸CT検査を受けるために必要な準備は?
大腸CT検査を受ける前の準備は、大腸カメラを受けるときとあまり変わりありません。大腸CT検査を受けるときも下剤を内服し、前日から食事の制限があります。
大腸カメラを受けるときと異なるのは、便を完全に出し切らなくても検査ができるという点と、下剤と一緒に造影剤というものを内服する点です。
便を完全に出し切らなくても検査できますので、内服する下剤の量は大腸カメラの時より少なくて済むのが嬉しいポイントです。ただし、造影剤アレルギーがある方は、アナフィラキシーショックを起こす恐れがあるため検査は実施することができません。
1-3、大腸CT検査の手順
大腸CT検査は以下の手順で行います。
①検査着に着替える
大腸カメラの時と同様に、まずは検査着に着替えます。肛門からガスを注入したりする際に、もし便などで汚れてしまっても大丈夫なようにしておきます。
②CT室に入り検査台に横になる
CT撮影用のベッドに乗り、仰向けに寝てもらいます。
③肛門からガスを注入して撮影をする
医師が肛門から細い管を通してガス(二酸化炭素)を注入して腸を膨らませて撮影します。仰向けとうつ伏せの2パターンで撮影し、15分くらいで検査が終了します。
④私服に着替えて少し休む
撮影が終了したら私服に着替えて少し休みます。休んでいる間にお腹の張り具合や排ガス(おなら)があったかなどを確認します。
⑤医師の説明を受けて帰宅
お腹の状態が落ち着いたら、検査結果について医師から説明を受けて帰宅します。
2章、大腸CT検査のメリット・デメリット
大腸CT検査のメリット・デメリットについて解説したいと思います。
2-1、大腸CT検査のメリット
①大腸カメラより負担が少ない
大腸カメラより前処置で内服する下剤の量が少なく、カメラを挿入するときの痛みを感じることもありません。
②大腸の癒着があっても実施できる
大腸カメラは大腸の癒着があると検査途中に痛みがでたりカメラの挿入が困難なことがありますが、大腸CT検査は大腸の形状に左右されることなく実施できることが多いです。
③検査後の負担が少ない
検査前に注入した炭酸ガスは救出されるのが早いので、検査後にもお腹が痛くなったりなどの負担が長引くことは少ないです。大腸カメラの場合は検査後にお腹の不快感などがあることがあります。また、静脈麻酔の効果が抜けるまで休んだりする必要があります。
2-2、大腸CT検査のデメリット
次に、大腸CT検査のデメリットを解説してきます。
①病変の切除はできない
大腸CT検査で可能なのは病変を見つけることです。見つけた病変を精密検査したり切除したりすることはできないので、必要であれば後日改めて大腸カメラを行う必要があります。
②小さい病変は見つけにくい
大腸ポリープの大きさが10mm以上のものであれば、大腸CT検査の検出感度は約90%と報告されており、大腸カメラと同等の検出感度と言われています。しかし、大腸ポリープが5mm以下というような小さな病変に関しては、発見することが難しい場合があります。よって、検査精度としては大腸カメラより劣ると考えられています。
③放射線被曝がある
大腸CT検査で使用する放射線は低線量ですが、妊娠中、または妊娠している可能性のある女性だと放射線による影響を受ける恐れがあるため実施することができません。
大腸CT検査について一通り解説しましたが、大腸の検査のゴールドスタンダードの大腸カメラについて解説しておきたいと思います。
3章、大腸CT検査と大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の違い
大腸CT検査について解説してきましたが、大腸検査のゴールドスタンダードは現在のところ大腸内視鏡検査です。では、大腸CT検査と大腸内視鏡検査の違いとはどのようなものなのか解説していきたいと思います。
大腸カメラのメリット(大腸CT検査との違い)
静脈麻酔を使用しない場合には、苦痛を伴う可能性のある大腸内視鏡検査ですが、次のようなメリットがあるからこそ実施する意味があります。
①病変を切除できる
大腸ポリープを切除することは、大腸がんの予防にもなると言われているため、検査と治療が一緒にできるという一石二鳥というようなメリットがあります。
大腸CT検査でポリープなどの病変を見つけてもその場で切除や組織生検などをすることはできないので、再度検査の予約をして大腸カメラを実施する必要があります。
②5mm以下の小さな病変も見つけられる
大腸CT検査では見つけにくい5mm以下の病変でも、大腸内視鏡検査なら発見できます。羞恥心や苦痛が伴う可能性のある検査として敬遠したくなるかもしれませんが、せっかく検査しても病気を見逃してしまっては意味がありません。
③大腸粘膜の色調まで観察できる
一方、大腸内視鏡検査にもデメリットが存在します。大腸カメラのデメリットとはどのようなものなのか解説していきたいと思います。
①苦痛を伴う可能性がある
カメラを挿入した際に腸がぐにゃぐにゃ動いて腸管にカメラによる圧がかかるとお腹に痛みを生じることがあります。痛みが強い場合には静脈麻酔の使用を医師・医療スタッフと相談しましょう。
*大腸内視鏡検査の痛みについては、「大腸内視鏡検査は痛みがある?どんな痛み?痛みを防ぐ方法まで専門医が解説」で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
②大腸が長すぎたり癒着があると実施できない
大腸の状態によっては大腸カメラを挿入するのが難しい場合があります。カメラを入れられないとなると検査はできないので、他の検査方法が提案されることもあります。
③まれに出血や穿孔を起こす
腸管内でカメラを操作した際に腸壁が擦れて傷ついてしまったり、ぶつかって穴が空いてしまうことがまれにあります。リスクとしては非常に低いものですが、もしこのようなことが起こったら出血や腹痛などの症状が出ることがあります。
4章、大腸検査は大腸CTよりも大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を実施すべき理由
なぜ大腸内視鏡検査を受けるべきかというと、
大腸CT検査の方が、苦痛は少ないと感じる方が多いかとは思います。しかし大腸内視鏡検査なら見つけられていた病気を見落とし、数年以内に取り返しのつかない後悔をする可能性があります。
また、切除する必要のある病変が見つかった場合、結局大腸内視鏡検査をしなければいけません。
できるだけ楽に検査を終わらせたいと思うかもしれませんが、最優先して考えるべきは命かと思います。
当院の大腸内視鏡検査の特徴については、「大腸カメラ検査について」で詳しく記載しておりますので、ぜひ参考にしてください。
5章、ゴールドスタンダードである大腸内視鏡検査について
大腸内視鏡検査は、医師が内視鏡スコープを操作しながらモニターの映像で大腸内を直接観察する検査です。検査中は、看護師や内視鏡技師が医師の手伝いや患者さんの付き添いをして検査を行っていきます。
患者さんにとっては肛門を見られるのを恥ずかしく感じたり、内視鏡スコープの挿入が刺激となり痛みを生じたりすることもあるため、マイナスなイメージが強い検査法かもしれません。できれば大腸内視鏡検査は避けたいと思う方が多いかもしれませんが、検査の精度としてはかなり高いものです。
大腸内視鏡検査を勧められるのはこんな人
医師から大腸内視鏡検査をすすめられるのは、主に以下のような病気が疑われるときです。
・大腸ポリープ
・大腸憩室炎
・クローン病
・潰瘍性大腸炎
・過敏性腸症候群
それほど日常生活に支障をきたさないものもあれば、命に関わるものまで様々です。万が一重篤な病気にかかっていたのに検査をしないで気づかなかった場合、将来が大きく変わってしまいます。「あのとき検査しておくんだった・・」と後悔しないために、大腸内視鏡検査をすすめられたときは受けるようにしましょう。
大腸内視鏡検査を受ける前に必要な準備は?
大腸内視鏡検査を受ける前には、あらかじめ下剤を飲んで便を出しておく必要があります。理由は以下の通りです。
・便が邪魔して腸管内を観察できない。
・検査中に便意を催して周りを汚してしまう可能性がある。
大腸の中を調べやすいようにキレイにしておき、できるだけ少ない苦痛で検査をスムーズに行うために必要な処置なのです。
お食事に関しては、前日の21時からは絶食になります。水分の摂取は可能です。脱水にならないよう、水やお茶などの糖分がなく透明な飲み物は適度にとりましょう。
大腸内視鏡検査の前日のお食事についてご心配な方は、「大腸内視鏡検査前の大事なお食事|易消化、低残渣の食事内容とは?」をぜひ参考にしてください。
大腸内視鏡検査の検査手順
クリニック・病院ないし自宅で下剤を内服してもらい、大腸内がキレイになったら検査となります。大腸カメラの検査は以下の手順で行います。
①検査着に着替える。
クリニック・病院で用意されている検査着に着替えます。私服のまま検査すると汚してしまったり、着ている服によってはスムーズに検査できなかったりする可能性があるからです。来院時の服装は特に指定はありませんが、着替えやすい服装だとより良いでしょう。
②処置用のベッドに左を下にして横になる。
検査は左を下にして横になる体勢で行います。なぜ左が下なのかというと、大腸の構造上左向きの方がカメラを挿入しやすいからです。スムーズにカメラが挿入できないと、腸が捻れて痛みを感じることもあります。痛みを軽減するためにも左を下にした横向きを維持するのが重要です。
大腸内視鏡検査の挿入法については、「大腸内視鏡検査は痛みがある?どんな痛み?痛みを防ぐ方法まで専門医が解説」で解説しています。ぜひ参考にしてください。
③静脈麻酔を使用する場合は点滴を入れる。
過去に大腸カメラを受けたときのトラウマが恐怖で検査を受けられそうにないというような場合にも、ぜひ静脈麻酔を使用して検査を行うことをお勧めします。
静脈麻酔を使う場合は点滴で薬を投与するので、まずは点滴ルートを確保してから検査を始めます。
静脈麻酔については、「痛みのない大腸カメラを受けるために知っておきたい6つのこと」でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
④肛門からカメラを入れて医師が検査を実施する。
いよいよ検査です。医師が肛門からカメラを挿入して大腸の中を観察します。静脈麻酔を使用した場合には、基本的には痛み無く検査を進めていくことが可能ですが、麻酔剤の効きが途中で切れた場合には、痛みを感じることもあります。そのような場合には、医師や看護師に伝えることが大事です。検査は10~20分程度で終了します。
⑤検査終了後、医師からの説明を受ける。
検査が終わったら検査結果について医師から説明を受けて帰ります。静脈麻酔を使用した場合は、リカバリースペースで少し休んで体の調子を戻します。また、静脈麻酔を使用した場合には、当日車の運転をすることはできません。移動は交通機関を使うか誰かに送ってもらいましょう。
大腸内視鏡検査の流れについては、「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の当日の流れについて」でも詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
今回は大腸CT検査について解説しました。大腸CT検査には、メリットとデメリットがあることがお分かりになったと思います。ゴールドスタンダードである大腸内視鏡検査との違いを理解することで、ご自身に合った検査を選択していただくことが大切です。
もし二つの検査を提示された場合には、何らかの理由で実施するのが難しいということが無いのであれば、大腸内視鏡検査を選択するのがおすすめです。
今回の解説のポイントとしては、
・大腸CT検査は比較的楽に検査が可能であるが、直接ポリープ切除や組織検査ができない
・大腸内視鏡検査は苦痛を伴うこともあり得るが、精度の高い検査方法である
・大腸内視鏡検査では、ポリープ切除を行うことで大腸がん予防になる
・大腸内視鏡検査では、静脈麻酔を使用すれば楽に検査が可能である
以上のことを踏まえて大腸検査に臨んでいただくことをお勧めいたします。
あなたの命や健康を守ること以上に優先されることなど何もありません。病院スタッフは、患者さんの不安や苦痛を最小限にできるようサポートしているので安心して検査を受けてください。
当院では、大腸内視鏡検査の予約が24時間WEBにてできます。下記よりご予約を承っています。
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※祝日のみ休診
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