右側腹部に痛みがあるという症状の場合、原因として真っ先に考えつくのが胃や腸の病気です。しかしお腹には胃や腸だけではなく、色々な臓器があります。
そのため、お腹が痛い場合、胃や腸だけではなく他の臓器に異常が起きている可能性もあります。病院を受診し、疑わしい病気に合わせて適切な検査や治療を受けることが大切です。
この記事では、右側腹部に痛みがある場合、どのような病気の可能性があるのかを中心に説明します。最後まで読むと症状に合わせた受けるべき検査がわかり、安心して病院を受診できます。
東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニックは、北千住駅から徒歩2分の距離にあり、内科の中でも胃と大腸の内視鏡検査に注力したクリニックです。経験豊富な内視鏡専門医による最新のシステムで検査を行うため、安心して検査にお越しください。
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目次
右側腹部には何があるのか
腹痛はさまざまな原因で起こります。右側腹部には主に小腸と大腸があり、そのほかにも色々な臓器があります。
また腹部には腎臓や尿管・膀胱、前立腺(男性)、子宮・卵巣・卵管(女性)などさまざまな臓器があります。
そのため、お腹が痛いからといっても、単純に胃や腸の病気が原因とは限らないこともあり得るのです。
お腹(腹部)の痛みの種類
腹痛はそれを引き起こすメカニズムによって、「内臓痛」「体性痛」の2つに分類されます。痛みの種類によって、体の中でどのような不具合が起きているのかを推察することができます。それぞれ詳しく説明します。
内臓痛
一般的に多く起こりがちなのは、「内臓痛」です。誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。下記のような痛みが、内臓痛の特徴です。
- 痛い場所がはっきりしない
- 押されるような、絞られるようなぼんやりとした鈍い痛み
- 痛みに波がある
内臓痛は、消化管などの内臓を取り巻く膜が痙攣して縮こまったり、内圧がかかったりして、そこにある神経が刺激されて起こるものです。自律神経の影響が大きいため、ぼんやりとした鈍い痛みで吐き気をもたらします。
内臓痛を引き起こすよくある原因は、暴飲暴食や刺激の強いものや、ウイルスの感染による胃腸炎などです。これらの場合は、数日ほど安静にしていれば自然に治ることが多いです。
体性痛
一方、痛む場所がある程度明確にわかっている場合や押すと痛む場合は、「体性痛」の疑いがあります。病気を起こしている臓器の炎症や機械的な刺激が原因となって痛みが生じます。以下のような痛みが体性痛の特徴です。
- 痛い場所がはっきりしている
- 突き刺すような鋭い痛み
- 痛い部位を押すと痛みが増す
- 身体を動かすと痛みが響く
体性痛の場合は、お腹の中にある腹膜に炎症が加わった時に起こるものです。鋭い痛みで場所を特定しやすく、痛みが激しい場合は炎症が腹膜まで及んでいる恐れもあるため、場合によって緊急の手術を要することもあります。そのようなケースとして有名なのが虫垂炎です。
急性虫垂炎で右下腹部が痛む場合や憩室炎による痛みの場合も体性痛に分類されます。
右下腹部に痛みがでる病気の種類
虫垂炎(盲腸)
虫垂炎とは、盲腸の先端にある虫垂といわれるひも状の臓器に炎症が起こる病気で、世間一般では「盲腸」といわれる病気です。最も顕著な症状が右下腹部痛で、はじめはみぞおちからへその周辺に痛みを感じ、徐々に右下腹部に痛みが現れてくるのが典型的です。
この腹部の痛みですが、へそから右腰の骨の出っ張りにかけて、右下から3分の1のところを押すと痛みを覚えます。ちょうどこの部位に虫垂が存在し、炎症を起こしていると考えられます。痛み以外には吐き気や食欲不振などの症状が現れる場合もあります。
診断のために血液検査のほか、腹部超音波(エコー)、腹部CTなどを行います。腹部超音波(エコー)、腹部CTにより虫垂が腫れている所見を認めます。対処が遅れると腹膜炎という重篤な状態になる場合があるため、速やかに病院を受診しましょう。
大腸憩室炎
消化管などの壁の一部が拡張して袋状に突出した状態を憩室といいます。外側に向けて飛び出すため、内視鏡検査ではくぼみとして確認されます。
大腸憩室炎とは、消化管の壁の一部が外部にせり出した袋状の憩室に便などがたまり、細菌感染によって炎症を起こす病気です。
憩室は大腸にできることが多く、お腹の右側または右下に位置する盲腸や上行結腸の憩室に炎症が起こった場合に右下腹部痛が起こります。また、憩室から出血が起きた場合には血便が見られることもあります。
炎症がひどくなると、腸に穴が空いたり、手術が必要になる場合があるため、速やかに医療機関を受診する必要があります。医療機関では、採血検査・超音波(エコー)検査や腹部CT検査などの検査が必要となります。早めに抗生剤を投与することで、重症になるのを防ぐことができます。
腸炎
何らかの原因で腸に炎症が起こった状態を腸炎といいます。盲腸や上行結腸に炎症が起こると、右下腹部痛が起こる場合があります。
腸炎の中でも注意したいのが、カンピロバクター腸炎です。カンピロバクターとは細菌の一種であり、細菌性食中毒の原因菌です。カンピロバクターに感染すると、腹痛、下痢、血便、嘔吐、発熱などの症状が起きます。
カンピロバクター腸炎の腹痛は、右下腹部に起きることが多く、虫垂炎との識別が必要です。治療としては、水分摂取が基本です。水分を口から摂取できない場合は、点滴が必要になり、重症の場合は抗生剤の投与の検討が必要です。
過敏性腸症候群
過敏性症候群は、腹痛や便秘・下痢などの排便に関する症状が現れます。さまざまな原因が関与して発症すると考えられています。消化管の蠕動(ぜんどう)運動の異常、腸の知覚過敏、ストレスや生活習慣などが要因として指摘されています。左下腹部痛が比較的多いようですが、右下腹部痛が起こる場合もあります。
主な症状は、腹痛や満腹感などの腹部症状、便秘や下痢といった便通異常です。
血液検査で炎症の有無を調べ、大腸内視鏡検査で大腸粘膜に病変がないかを確かめるなど、症状に合わせた検査が必要です。
腸は自律神経によってコントロールされているので、緊張やストレスをきっかけに強い腹痛や激しい下痢などの症状を起こしやすく、日常生活に深刻な支障を生じるケースも少なくありません。できるだけ早く病院を受診して適切な治療を受けることが重要です。
クローン病
クローン病は口から肛門まですべての全消化管に炎症が起こる可能性がある病気で、炎症が起きた部分では粘膜が赤くなることや、剥がれて潰瘍を形成することもあります。主な症状は腹痛、下痢、血便で、症状のない寛解期と症状が起こる再燃期を繰り返し、原因がわからず根治に導く治療法がないため難病指定されています。
クローン病は栄養療養や食事制限が必要になることがありますので、専門医を受診して正確に診断をしてもらうことが重要です。比較的稀な病気ですが、食事の欧米化などにより年々増加傾向にあります。10〜20歳代の若い人に起こりやすく、男性に多い病気とされています。
クローン病における炎症は、回腸部(小腸と大腸の境目)に起きることが多く、小腸だけ・大腸だけに病変が現れる場合、小腸と大腸の両方に病変がある場合もあります。長い期間再熱を繰り返して手術が必要になることも珍しくなく、消化管以外への合併症を起こすこともあります。
血液検査で炎症反応や栄養状態を確認し、大腸内視鏡検査で腸粘膜の状態を確認します。また、CT検査やMRI検査が必要になることもあります。検査の結果を総合的に判断して診断します。
胃腸以外で右下腹部に痛みがでる病気
胃腸以外で右下腹部に痛みがでる病気は以下のとおりです。
尿路感染症
尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱に溜められ、トイレに行くと膀胱から尿道へ押し出されて排尿します。この一連のルートを尿路といい、この尿路に細菌が感染し炎症が起こるものを尿路感染症といいます。
尿路感染症は、膀胱や腎臓などに感染が起こり膀胱炎や腎盂腎炎などになります。
膀胱炎は、下腹部を中心に痛みを引き起こし、右下腹部痛として自覚される場合があります。膀胱炎が悪化して細菌が腎臓まで達すると、腎盂腎炎となります。
腎臓は左右に2つあり、脇腹と背骨の中間あたり(背部)に位置します。右側の腎臓が腎盂腎炎になった場合は、右の脇腹から腰にかけての痛みが起こり、発熱や嘔吐、全身のだるさ(倦怠感)を伴うことが多く、血尿が出ることもあります。
腎盂腎炎で症状が強い場合には入院、点滴での抗菌薬投与が必要になります。
尿管結石
尿路結石は30〜40歳代の男性に多い病気で、腎臓・尿管・膀胱・尿道などの尿路に留まる結石が尿路を下っていく時に引っかかると激しい痛みを感じます。泌尿器科の外来でみられる疾患の中では最も頻度の高い疾患のひとつで、年間罹患率も年々上昇を続けています。
尿管結石による症状としては、突然に生じる激しい痛みや血尿などが認められます。お腹の右下に位置する尿路に結石ができたときには右下腹部痛として症状が現れ、吐き気や血尿といった症状を伴う場合もあります。
男性特有の右下腹部に痛みがでる病気
男性特有の疾患で右下腹部の痛みで考えられる病気は以下のとおりです。
- 精巣上体炎
- 前立腺炎
精巣上体炎
男性疾患は消化器疾患や尿路系疾患に比べると頻度は少ないですが、前立腺の精巣上体に炎症を起こす精巣上体炎などで下腹部痛を起こします。精巣にクラミジアや淋菌、大腸菌などの細菌が入り込んで感染し、炎症を起こす病気です。
典型的な精巣上体炎の症状は陰嚢(いんのう)内の強い痛みですが、炎症が強いときは足の付け根や右下腹部に痛みが波及することがあります。
前立腺炎
前立腺炎は、前立腺に細菌が感染することなどをきっかけに炎症が起こる男性特有の病気です。発熱、残尿感、排尿時不快感、頻尿、下腹部の痛みなどの症状が起きます。
前立腺は下腹部にあるため、炎症の波及の仕方によっては、右下腹部痛を引き起こします。
排尿する時に痛みがあったり、排尿が困難であったり、頻尿になったりすることもあります。長時間のドライブやサイクリング、過度の飲酒などが細菌感染のきっかけになります。
女性特有の右下腹部に痛みがでる病気
婦人科系疾患で右下腹部の痛みで考えられる症状の病気は以下のとおりです。
- 異所性妊娠
- 子宮内膜症
- 卵巣嚢腫・卵巣茎捻転
- 子宮筋腫
- 卵巣出血
- 骨盤腹膜炎
異所性妊娠
本来なら子宮内に着床するはずの受精卵が、卵管や卵巣など別の場所にとどまってしまうという病気です。妊娠初期の症状は、正常の妊娠と変わりません。
しかし、胎児が大きくなると母体の臓器が破裂してお腹の中で大量に出血し、血圧が低下するなど生命の危険を伴う場合があります。
症状としては下腹部痛、不正出血がみられ、着床する部位によっては右下腹部あるいは左下腹部の痛みが起きる場合もあります。
妊娠の可能性がある女性で、激しい腹痛や性器からの出血があるようなら異所性妊娠の可能性があります。早期に対処することが重要なため、躊躇せず病院にいきましょう。
子宮内膜症
本来は子宮にあるはずの子宮内膜が、子宮外にできてしまって増殖してしまう病気です。卵巣、腹膜、子宮と直腸の間にあるダグラスかという部分によくできます。そのほかにも
腸や肺などにもできることがあります。
子宮内膜症では月経痛や下腹部痛、腰痛、性交痛が起こることが多く、部位によって右下腹部の痛みとして感じることもあります。
卵巣嚢腫・卵巣茎捻転
卵巣にできる腫瘍のうち、袋のような形をしたものを、卵巣嚢腫(のうしゅ)と呼びます。卵巣嚢腫の多くは良性ですが、悪性の場合もあるため注意が必要です。20〜30歳代の若い方に多い病気です。
卵巣嚢腫は小さいうちは自覚症状はありませんが、大きくなると腹痛などの症状がでてきます。腹痛は右下腹部、左下腹部、下腹部に起こることが多いです。
卵巣嚢腫が大きくなるとお腹の中でねじれが生じ、「茎捻転」と呼ばれる状態になり、突然激しいお腹の痛みが起きる場合があります。
また、卵巣嚢腫が破裂した場合も激しい腹痛が起き、緊急手術が必要になる場合があります。
子宮筋腫
子宮内の筋肉からできる良性のしこりで、女性の4人に1人はあるといわれています。女性ホルモンの分泌量と関係して肥大化しますが、閉経とともに縮小が見られます。
子宮筋腫があると、月経のときに起こる下腹部痛が強くなる場合があります。また、子宮筋腫のできる場所によっては、左下腹部に痛みを感じることがあり、鈍い痛みのこともあれば押し寄せるような強い痛みを感じることもあります。
症状がある場合や大きくなる場合には、注射で縮小させたり、手術で切除したりします。
卵巣出血
卵巣出血とは、排卵や外的な刺激などにより生じた卵巣の傷から出血する状態を指します。20〜30歳の女性に多くみられますが、年齢に関わらず排卵がある女性には誰にでも起きる可能性があります。
卵巣出血の際にみられる主な症状は下腹部痛ですが、出血の程度により症状の強さや種類が異なります。腹痛は突然起こり、持久性で間欠性でないことが特徴です。
出血量が多い場合、腹膜への刺激により下腹部全体に痛みが広がり、吐き気や嘔吐、下痢などの症状をともなう場合があります。さらに出血が多くなると、血圧低下や頻脈などが起こりショック状態をきたすことがあります。
多くの場合(80%程度)は自然に止血し、血液も自然吸収されることで症状が消退することが多く、経過観察が可能です。ただし、急な貧血進行を認める可能性があることもあるため入院が必要となることもあります。
骨盤腹膜炎
骨盤腹膜炎とは、細菌感染により骨盤内の臓器が炎症を起こし、その臓器を覆っている腹膜にまで炎症が及ぶ病気のことです。骨盤腹膜炎の原因となる最近はさまざまで、大腸菌などの一般的な細菌によるものもあります。
激しい下腹部痛や発熱、吐き気などの症状があり、臭いを伴うおりものや出血がみられる場合もあります。重症化すると、卵管内や子宮との直腸の間にあるダグラスかと呼ばれる隙間に、膿がたまって膿瘍を形成することがあります。このような状態に進行すると、敗血症になる可能性があり、場合によっては命を脅かす危険も出てきます。
右下腹部に痛みがでる場合に受診するべき医療機関
お腹の下の部分、下腹部の痛みは比較的よくある症状のために我慢してしまう人が多いです。自然と治る場合も多いですが、原因によってはそのままにしておくと生命の危険を脅かす可能性もあります。
腹痛がある場合には、ターミナル駅の北千住駅から徒歩2分の東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック足立区院にお越しください。
当院は消化器内科だけではなく、肛門外科、肝臓専門外来、緊急外来も行っております。
消化器内科
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まとめ
右側腹部の痛みがでる場合の考えられる病気の種類、受診すべき医療機関について紹介しました。腹痛にもさまざまあり、痛む場所の近くの臓器が原因となっている場合や、痛む場所と原因となる臓器が離れている場合もあります。
状態によっては緊急を要する場合がありますし、ただの腹痛だと思っていたら実は大腸がんのサインであったりなど、適切な時期に適切な治療を受ける機会を逃してしまうことのないよう、自己判断はせずに専門医にしっかり相談することをおすすめします。
腹痛でお悩みの場合は、北千住駅から徒歩2分の東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック足立区院にお越しください。経験豊富な内視鏡医師が診療・検査を行うため、安心してご相談ください。
また、当院では内視鏡治療後(ポリープ切除後)の合併症に対して、関連病院で24時間365日対応してますので、安心して検査を受けていただけます。
東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック足立区院では、外来診療の予約をWEBで24時間受け付けております。院内での待ち時間削減にもつながりますので、ぜひご予約の上、お越しください。
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