便潜血陽性は何の病気が考えられる?疑われる疾患や治療法も解説

健康診断の大便検査で便潜血陽性と診断されると、「どこか悪いの?」「何の病気なの?」と不安を感じると思います。

便潜血陽性とは、一体どのような状態なのでしょうか?

この記事では、便潜血陽性の診断がでた場合に何の病気の可能性があるのか、また考えられる疾患の治療法や内視鏡検査についてご紹介します。

便潜血陽性には大きな病気が隠れている可能性もあるので、健康診断や人間ドックで定期的に大腸検査を受けて早期発見、治療することが大切です。

なお、東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニックは消化器を専門に扱っており、大腸カメラの検査も実施しています。当院では痛みに配慮した大腸カメラを取り入れているので、痛みが不安で検査を躊躇している方も安心して受けられます。

診察や検査の予約も24時間WEBで簡単に受け付けていますので、ぜひご検討ください。

便潜血陽性とは?

便潜血陽性とは、健康診断や人間ドックのがん検診で行う大便検査で摂取した便検体のなかに、血液が付着した状態を指します。検査を受けて陽性と診断される確率は、1,000人中50人程度で比較的少ないです。

普通、食べたものが胃や腸を通過する際に血液が混じることはなく、便が大腸がんなどの病変に擦れることで陽性と診断されます。

便潜血陽性になると、要検査となり次に大腸内視鏡検査を受ける必要がありますが、この時点で大腸がんとはっきり診断されるわけではありません。大腸がん以外にも痔や大腸ポリープなどの病気が潜んでいる可能性があるため、便潜血陽性の診断が出たら必ず内視鏡検査を受けましょう。

 

便潜血陽性で疑われる疾患

便潜血陽性で疑われる疾患は、「大腸がん」「痔」「大腸ポリープ」などさまざまです。出血した箇所から体外へ排出される時間や距離により、便にまじる血液の状態も異なります。

それぞれの病気の特徴や治療法をご紹介します。

大腸がん

大腸がんは大腸に発生する悪性腫瘍で、腺腫(良性のポリープ)ががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生する2つのタイプがあります。

S状結腸と直腸にがんができやすいのが日本人の大腸がんの特徴です。

自覚症状の少ない病気ですが、進行していくと血便や下血、便に血液が付着するといった症状がみられ、さらに放置してしまうと腸閉塞となり、便が出ない、腹痛や嘔吐、体重減少などが起こります。

治療方法は内視鏡治療、手術療法、薬物療法などがあり、進行状況に合わせて行われます。

血便の症状は痔と間違いやすく放置してしまいがちですが、進行してしまうと手術が必要になる場合もあるため、気になる症状があれば早めに病院へ受診することが大切です。また、便潜血陽性の約2%〜4%の人が大腸がんと診断されるので、定期的な検診も心がけましょう。

痔は肛門の病気の総称で、「いぼ痔」「切れ痔」「痔ろう」の3種類が三代疾患として知られています。痔は便秘がちで排便時に強くいきんだり、長時間座った体勢でいることで肛門に負担がかかり発症します。

それぞれの具体的な症状は下記の通りです。

①いぼ痔(痔核)

  • 最も患者数の多い痔で、患者の半数を占める
  • お尻周りの血行が悪くうっ血することで、肛門のクッション(結合組織や筋組織、動脈や静脈の血管が集まった部分)が大きくなってしまう
  • いぼ痔はできる位置によって、便秘、下痢、排便時の出血などの症状がみられる。

②切れ痔(裂肛)

  • 便秘などで硬くなった便を押し出すことにより、肛門の皮膚が切れたり裂けたりする
  • 便通トラブルの多い女性に多くみられる

③痔ろう(あな痔)

  • 直腸と肛門の境目である、歯状線にある小さなくぼみから便が入り込むことで起こる
  • 肛門腺に大腸菌などの細菌が感染してしまい、発熱や肛門周辺の皮膚が腫れて痛みを伴うこともある
  • 下痢気味の男性に多くみられる

血便がみられる場合、いぼ痔が切れ痔の可能性が考えられます。症状がみられても恥ずかしさから受診を躊躇う人も多いですが、病気と向き合い 病院を受診してみましょう。

東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニックでは、大腸カメラ以外に痔疾患の診察・治療にも対応しています。痔疾患でお困りの方も、ぜひお気軽にお問合せください。

大腸ポリープ

大腸ポリープは、大腸内の管腔内に突出した隆起性病変です。便潜血陽性の診断から大腸ポリープが見つかる確率は約30%と少なく、大腸内視鏡検査で発見されるケースが多いです。

治療法は、6mm以上の腺腫性ポリープや5mm以下でがんとの鑑別が困難な病変に対しては、内視鏡的切除が行われます。ほとんど症状のない病気ですが、進行すると血便、粘液便、便秘などの症状が出てくるので、気になる症状があれば病院へ受診しましょう。

また、大腸ポリープは生活習慣の乱れや加齢、遺伝などをの要因で粘膜に発生するため、日頃から適度な運動や睡眠の確保などを取り入れてリスクを防ぐことも大切です。

 

2019年の罹患率は大腸がんが1位

大腸がんは、がんのなかでも罹患率が高く、2019年の罹患率は1位、さらに2021年の死亡率は女性が第一位、男性が第二位となっています。

食生活の欧米化、喫煙、飲み過ぎ、運動不足などにより大腸がんの発生する危険性が高まります。

特に、女性の場合加工肉や赤肉の摂取が多いと、大腸がんが発生する危険性が高くなる可能性があるとも言われているため、和食を中心とした食事スタイルを取り入れ、タバコやお酒の過剰摂取などは控えましょう。

 

大腸がんの治療方法

大腸がんの治療方法は、大きく分けて「内視鏡治療」「手術療法」「薬物療法」の3通りあります。

治療法は、がんの大きさや進行状況によって異なりますが、それぞれどのような治療方法なのか特徴を理解しておきましょう。

内視鏡治療

内視鏡治療は、リンパ節への転移がなく、粘膜内のみに存在するがんまたは粘膜下層への軽度に入り込んだがんに適応されます。内視鏡を使用し、画像を見ながら大腸の内側からがんを切除していきます。

内視鏡治療は、治療後1週間程度で普段と同じ生活に戻れるため、比較的受けやすい治療です。内視鏡治療は、手術療法と比べて体に対する負担は少ないですが、合併症として出血と穿孔(大腸に穴が開く)が起こることがあります。

切除後の検体を調べた結果、実は進行していたという場合には、外科治療が必要となることも頭に入れておくとよいでしょう。

手術療法

手術療法は、がんが内腔側の粘膜からある程度深く入り込んでいる場合に行われ、病変のある腸管とその所属リンパ節を一度に切除します。

近年、腹壁に部分的に穴を開けて行う腹腔鏡下手術が急速に普及し、大きな傷口の残る開腹手術の例数を上回っています。腹腔鏡下手術は、身体への負担が少ないだけでなく、傷跡を最小限の大きさに抑えられるので、術後の傷跡が気になりやすい方の精神面にも考慮されています。

薬物療法

薬物療法は、抗がん剤などによる治療法で、治療期間は個人差はありますが数か月程度となっています。切除できない場合、あるいは進行しているが手術切除を行った後の状態に、補助として薬物療法が行われます。

抗がん剤と聞くと副作用が不安と感じると思いますが、大腸がんの抗がん剤に使用される薬剤は種類が多くあり、個人差もありますが副作用を感じない方もいます。医師と相談して自分に合った抗がん剤を使用することが大切です。

 

便潜血陽性の場合は内視鏡検査を受けましょう

便潜血陽性と診断された場合、大腸がんや大腸ポリープなどの大きな病気が隠れている可能性があるため、そのまま放置せずに内視鏡検査を受けましょう。

大腸内視鏡検査は、内視鏡を肛門から挿入して腸内をじっくりと観察し、炎症や腫瘍性の病変の有無を調べる検査です。大腸がんは発見が難しい病気ですが、内視鏡検査なら便潜血陽性だけではわからない腫瘍の有無や病気の診断ができます。また、内視鏡検査中に見つかった大腸ポリープはその場で切除することも可能です。

病気の早期発見、治療のために、定期的に内視鏡検査を行いましょう。

 

まとめ

便潜血陽性は何の病気が考えられるのかについて解説しました。

便潜血陽性と診断された場合、大腸がんや大腸ポリープ、痔などの病気が隠れている可能性があります。どれも症状が似ているため、何の病気なのかわからず不安に感じると思います。内視鏡検査を行えば病気の診断がつき、早期治療が始められるので、便潜血陽性や気になる症状があった場合は、早めに病院へ受診しましょう。

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