「便秘を改善するためにはどうしたらいいの?」
「自宅でも簡単にできる便秘の改善方法が知りたい」
便秘になると、お腹が張ったり違和感が続いたりしてつらい思いをします。そのため、できるだけ早く便秘を改善したいと思う方が多いのではないでしょうか。
便秘とは、本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態のことです。つらい便秘の状態を改善するためにも、自分でできることは取り組んでみましょう。
今回は、便秘の改善方法や原因、すぐに便を排出したいときの対処法などについて詳しく解説します。
目次
1章、【食事編】便秘改善のためにしたいこと
まずは、便秘を改善するために食事を通してできることを見ていきましょう。便秘の改善には、食事の見直しが欠かせません。食べたものの量や質が排便に直結するので、食事の見直しは必ず行う必要があります。
1-1、食物繊維を多く摂る
便秘を改善するために摂りたいのが、食物繊維です。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とがあります。水溶性食物繊維は便を柔らかくして排泄を促し、不溶性食物繊維は便のかさを増して排便しやすくする働きがあることが特徴です。
しかし食物繊維は、ほとんどの日本人で不足していると言われています。日本人の食事摂取基準(2020年版)では18~64歳の男性で1日あたり21g以上、女性で18gが目標量となっていますが、実際は14g前後しか摂取できていません。
豆類や野菜類、きのこ類や藻類に多く含まれているので、これらの食品を積極的に摂るようにしましょう。一日あたり3~4gの食物繊維をプラスで摂取するのが一つの目安です。
1-2、適度に脂質を摂る
脂質に含まれている脂肪酸は、大腸を刺激する働きがあります。そのため、適度に脂質を摂ることも大切です。自然に腸を刺激してくれるので、便秘の改善に役立つでしょう。オリーブオイルやえごま油、ナッツ類などは脂質を多く含むので、これらの食品を摂るようにしてみてください。
1-3、水分を多く摂る
摂取する水分量が少ないと、便に含まれている水分が少なくなって固くなり、便秘しやすくなります。日頃から意識して水分を多めに摂るようにしましょう。
具体的にどれくらいの量を取ったら良いのかについてはまだ研究段階ですが、1日に1,000ml以上摂る方は1,000ml以下の方より便秘の自覚症状が少ない ことが分かっています。
2章、【運動・マッサージ編】便秘改善のためにしたいこと
便秘は食生活だけでなく、運動やマッサージでも改善できます。運動不足は腸の働きを鈍らせる原因となるため、運動習慣がない方は体を毎日動かすようにしましょう。
2-1、腹筋を鍛える
便を排泄するためには、押し出すための筋力が必要です。便秘になる原因にはいろいろとありますが、腹筋の筋力低下も原因の一つだと考えられています。
そのため、便秘の改善を目指すのなら、腹筋を鍛えるのがおすすめです。腹筋を鍛えると便を押し出しやすくなるため、便秘の改善が期待できます。
うつ伏せで寝て脚をまっすぐに伸ばしてバタ足をしたり、仰向けに寝てつま先を覗き込むような姿勢をしたりすることで腹筋を鍛えることが可能です。
2-2、全身運動を行う
体を動かすと、腸が刺激されるので便秘を改善できます。ウォーキングやヨガなど、全身を動かす運動を日常生活に取り入れてみましょう。全身の筋肉が鍛えられるため、腸の蠕動運動が活発になり便秘の改善につながります。
ウォーキングやヨガなどを取り入れるのが難しい方は、エスカレーターやエレベーターを使わず歩くようにするだけでも効果的です。とにかく体を動かすようにしましょう。
2-3、お腹をマッサージする
お腹を外から刺激してあげるのも便秘の改善に効果があります。簡単にできるのが「の」の字を書くマッサージです。おへそを中心に時計回りの「の」の字を書くようにマッサージしましょう。腸を刺激するように意識してマッサージするのがおすすめです。
外から圧力をかけることで腸が刺激され、便秘を改善できます。皮膚が敏感な方は、ボディクリームやオイルなどを塗ってからマッサージすると、皮膚に負担をかけにくくなります。
3章、便秘をすぐに改善したいときは?
「今すぐにでも便秘をなんとかしたい」「苦しいお腹をすぐに楽にしたい」と思っている方もいるかと思います。食生活や運動習慣の見直しは便秘の改善に効果がありますが、即効性はありません。すぐに改善したい方は、便秘薬や浣腸を使うとよいでしょう。
3-1、便秘薬を使う
便秘薬には腸を刺激したり便に水分を与えて排便しやすくしたりするものがあります。ビサコジルやセンナ、センノシド、ピコスルファートナトリウムなどは腸を刺激することで蠕動運動を促す薬です。
酸化マグネシウムやジオクチルソジウムスルホサクシネートは、腸内の浸透圧を上げることで便に水分を含ませて排便しやすくします。プランタゴ・オバタは大腸で水分を含んで膨らむことで、便のかさを増やす成分です。
3-2、浣腸を使う
浣腸は使用後3~10分ほどで便意を催します。そのため、今すぐ出したいときに便利なアイテムです。浣腸の主成分であるグリセリンが腸を刺激し、さらに便の通りを良くすることですぐに排便を促してくれます。
4章、便秘になる原因は?
便秘になる原因は、人によってさまざまです。ここでは6つのおもな原因について見ていきましょう。
4-1、大腸の働きが低下している
大腸の緊張がゆるむと、蠕動運動が正常に行われません。そのため、便が長時間にわたり腸内にとどまることになり、便の水分が吸収されて固くなってしまいます。運動不足や水分不足、筋力の低下や極端なダイエットなどが原因で起こりやすいことが特徴です。
4-2、腸管が過度に緊張している
腸管が過度に緊張すると、便が肛門までうまく運ばれません。その結果、まとまりのある便ではなく、うさぎの糞のようなコロコロとした便が出るようになります。
すると、残便感がありスッキリしない状態になるでしょう。ストレスを抱えている方や生活環境に変化があった方で見られやすいと言われています。
4-3、直腸に便が溜まっている
直腸は、肛門からもっとも近い部位です。あと少しで排便されるというところで便が溜まってしまい、排便できなくなります。これは、排便反射が起こりづらくなることが原因です。便意を我慢することが多い方や寝たきりの方で良く見られます。
4-4、大腸に器質的な問題がある
大腸そのものに何か問題がある場合も便秘になりやすくなります。イレウスや大腸がんなどは、便秘が起こりやすくなる代表疾患です。便秘だけでなく激しい腹痛や血便、嘔吐などの症状が出る場合は、ただの便秘と思わずなるべく早めに医療機関を受診しましょう。
大腸がんが疑われる場合には、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受ける必要があります。当クリニックでは、大腸がんの専門外来を行っていますので外来にてご相談いただくようお願いします。
電話での予約は下記より承っています。
4-5、飲んでいる薬の影響を受けている
薬の種類によっては、便秘しやすくなるものがあります。代表的なのが抗コリン作用のある薬です。鼻炎や花粉症、風邪の薬などに配合されていることがあり、服用すると便が固くなるため排便しづらくなります。
パーキンソン病やうつ病の治療薬などでも便秘になることがあるため、気になる方は医師に相談するようにしましょう。
4-6、ホルモンバランスの影響を受けている
女性の場合は、ホルモンバランスの影響を受けて便秘になることも多いでしょう。生理前になると、黄体ホルモンの分泌量が多くなる影響で腸の動きが鈍くなります。そのため、生理前に便秘になることが多いのです。
5章、便秘を放っておくとどうなるの?
数日くらい出なくでも「たかが便秘だ」と思う方が多いかもしれませんが、便秘を放っておくと痛い目を見ることがあります。
5-1、硬便になることがある
硬便(こうべん)とは、便が直腸にたまることで浣腸をしても効果が出ないほどカチカチに固まってしまうことです。いきんだり便秘薬を使ったりしてもなかなか排便できないため、医療機関で指や内視鏡を使ってかき出してもらう必要があります。
5-2、いぼ痔や切れ痔のリスクが高まる
固くなった便をむりやり排便しようとすると、肛門に負担がかかっていぼ痔になったり、切れて切れ痔になったりします。いぼ痔や切れ痔になると排便時に痛みを感じるようになるため、排便を我慢してしまい余計に便秘が悪化してしまうこともあるでしょう。
いぼ痔や切れ痔でお悩みの方は、一度肛門専門外来でご相談いただければと思います。
電話での予約は下記より承っています。
肛門専門外来に関しては、下記の専門サイトをご参考にしてください。
6章、便秘を改善するために普段の生活で心がけたいこと
便秘が重症化すると、吐き気が出たり強い腹痛に悩まされたりすることもあります。このようなことにならないようにするためにも、普段から便秘にならないように心がけた生活を送りましょう。
6-1、便意を我慢しない
便意を感じたら我慢せず、必ずトイレに向かいましょう。我慢していると排便反射がうまくいかなくなり、便が直腸にたまっても便意を感じづらくなります。また、便が腸内に溜まることで水分が抜けて固くなり、痔になってしまうこともあるので注意しましょう。
6-2、決まった時間にトイレにゆっくり座る習慣を作る
朝はとくに便意を感じやすい時間帯です。排便のタイミングを逃すと、そのまま一日出ないこともあります。そのため、朝からゆっくりとトイレに座る習慣を作るようにしましょう。そうすることで便意を逃すことが少なくなります。
7章、便秘改善に関するQ&A
最後に、便秘改善に関して良く聞かれる質問にお答えします。
Q1、即効性がある便秘改善の方法はありますか?
即効性を求める場合は、浣腸を使うのが一般的です。浣腸を使うと3~10分ほどで便意を感じるので、すぐに排便できます。
Q2、便秘に効く食べ物はありますか?
便秘には、食物繊維が多くふくまれているさつまいもやわかめ、玄米、脂質が多く含まれているオリーブオイルやごま油、チーズなどがおすすめです。これらの食品を適度に取り入れ、便秘解消を目指しましょう。
Q3、便秘に効くツボはありますか?
便秘に効くツボとしては、天枢(てんすう)や大巨(だいこ)などが知られています。天枢はおへそから指3本分だけ外側に左右それぞれあるツボ、大巨はおへそから指3本分下にあるツボです。
便秘については、「【腸に詰まった便をドバドバ出す】現役医師が病院で教えている便秘解消法を紹介します!」でも動画解説をしていますので、ぜひご覧ください。
まとめ
便秘を改善する方法としては、次のものが挙げられます。
・適度に脂質を摂る
・水分を多く摂る
・腹筋を鍛える
・全身運動を行う
・お腹をマッサージする
便秘が気になるときは、上記の方法を試してみてください。食生活や運動習慣の見直しを行っても便秘が改善されない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。便秘を放っておくと糞便塞栓症や痔になる恐れがあります。吐き気や腹痛の原因にもなるため、早めの対処が必要です。
便秘でお悩みの方は、一度大腸内視鏡検査を受けていただくことをお勧めします。大腸がんなどのご病気を除外することも大切です。当クリニックでは、24時間WEBにて大腸内視鏡検査の予約が可能です。
電話での予約は下記より承っています。
・便秘と食習慣 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
・食物繊維の必要性と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
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