痛みの無い内視鏡検査について｜内視鏡看護師が解説

こんにちは、内視鏡看護師のNです。前回は「消化器内視鏡クリニックの看護師の役割」について説明しました。本日は「痛くない内視鏡」について説明したいと思います。
　
内視鏡と聞いて、みなさんはどのようなことを想像するでしょうか。よくみなさんから聞かれるのは「痛そう」「怖い」「気持ち悪くなりそう」等とあまり良いイメージを持たれていない方がほとんどであるかと思います。今では方法によっては内視鏡検査は痛みのほとんどない検査となっており、安心して検査を受けることができるようになっています。

痛みがない理由は「鎮静剤の使用」です。鎮静剤を使用することでウトウト…と意識が朦朧とした状態となり、患者さんによってはぐっすりと眠った状態で検査を行うため痛みを感じません。患者さんによっては検査後目が覚めた際に「今から検査ですよね？」と尋ねられる方もよくいらっしゃいます。当クリニックでは鎮静剤を推奨しており痛みのない内視鏡検査を行っています。

それでは痛くない内視鏡について詳しく説明していきたいと思います。

１章、当クリニックで使用する鎮静剤について

楽に検査を受けていただくために鎮静剤を使用しています。

当クリニックで使用している鎮静剤に関しては、比較的薬効時間が短いため切れが良く、嘔気嘔吐などの気分不快が少ないものです。鎮静剤を使用したことがない患者さんも多くいらっしゃいます。

私たち看護師の役目として「患者さんの不安を取り除き、安心して鎮静剤を使っていただくために正しい知識や鎮静剤を使用することによっておこる副作用症状などをしっかりと理解し、患者さんのサポートを行う必要があります。そのためにアレルギーや既往歴などを聴取させていただき、患者さんにとってより安全な薬剤を使用するよう患者さんに合わせて選択しています。

使用する薬剤によってはしっかり目が覚めるまで１時間～1時間半近く眠った状態になることもあります。鎮静剤を使用する場合は、検査後の予定を入れずにご自宅で過ごされることをおすすめします。

２章、鎮静剤のメリット、デメリット

鎮静剤はメリットのほうが多い！！

2-1、鎮静剤のメリット

胃カメラのイメージといえばまさにこちらかと思います。喉元に異物となるカメラが当たるだけで人間の生理現象として反射的に吐き出そうとします。羞恥心も伴うため苦手な方が多いのですが鎮静剤を使用することで反射も軽減、または無くなるため苦しくありません。

大腸カメラでも鎮静剤を使用しなければ肛門部での異物感によりお通じへ行きたいような感覚になりますが、鎮静剤を使用することによってそのような肛門部の不快感も感じません。

胃カメラ、大腸カメラともにカメラが動いている影響で腹部内に違和感がでてしまうことがあります。カメラが動いている影響で時折突き上げるような腹痛に見舞われることもありますがそれらを感じることはありません。

内視鏡の専門医師も人間です。患者さんが苦しんでいる表情を見るとどうしても「早く終わらせてあげたい」という気持ちから焦りが出やすくなります。内視鏡カメラでは粘膜を広げるために空気や炭酸ガスを入れるのですがしっかり粘膜を広げるためには少し時間が必要になります。鎮静剤で苦痛を軽減しているだけでも満足に粘膜を広げ、しっかりと観察を行うことが出来るので見落としがありません。

鎮静剤のデメリット

道路交通法第六十六条より「過労、病気、薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態で車両などを運転してはならない」と記されております。鎮静剤はこの薬物の影響に値するため決して車両の運転をしてはいけません。徒歩、または公共交通機関の使用をお願いいたします。

安全のためしっかりと目が覚めた状態になってから帰宅していただくため、患者さんによっても目が覚めるスピードが異なること、薬剤によっては１時間程休憩してかたら帰宅していただくこともありその後すぐに帰宅していただくことが難しい場合もあります。

目が覚めてても鎮静剤は体内に残っているため内視鏡を行った日はできるだけ予定を入れないことをおすすめします。

３章、内視鏡での鎮静剤使用後の注意事項

鎮静剤使用後は車、バイク、自転車などの運転ができません。公共交通機関を使用してください。

検査後すぐに脂っこいもの、刺激のあるもの（辛い物、すっぱいもの、コーヒー、アルコール）、大量に食べるなどをすると胃腸がびっくりしてしまいます。まずはお腹に優しいものから食べるようにしてください。

鎮静剤を使用することで「あんなにつらかった内視鏡検査が楽にできてよかった」「もっと早く鎮静剤を使用していたら…」とお声をいただくことが多いです。もちろん、鎮静剤を使用検査も出来ますのでまずは医師に相談してみてくださいね。

尚視会グループでは、内視鏡スタッフを随時応募しています。内視鏡検査や内視鏡治療にご興味のある方は、お気軽にご連絡をください。随時見学可能です！