内視鏡検査前に生理に。生理中の大腸内視鏡検査は可能なの?

「東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック」看護主任のAです。今回は、女性にとって大変気になる生理時の大腸内視鏡検査(大腸カメラ)について解説したいと思います。

医師から大腸内視鏡検査を勧められたとき、女性であれば生理と被ってしまう場合もありますよね。

生理中に大腸内視鏡検査を受けるように言われたとき、生理中でも検査は可能なのか、また下着やナプキンはどのようにすればいいのか、不安や恥ずかしさを感じる方が多いでしょう。

普通に検査を受けるだけでも不安なのに、それが生理中となれば落ち着いていられません。

しかし大腸内視鏡検査は、女性だからこそ必要な検査なのです。

なぜなら、女性はがんの中でも大腸がんの患者数が多く、死亡につながりやすいからです。

女性のがんの罹患率は、第1位の乳がんに続いて第2位が大腸がんであり、なかでも大腸がんは女性のがんで最も死亡数が多い病気になります。

大腸内視鏡検査を受けるか受けないかで、将来の自分が健康的に暮らしているか、病院のベッドで毎日天井を見る生活を送りながら検査を受けなかったことを後悔しているか、運命の分かれ道になる可能性もあります。

決して他人事ではありません。

こちらの記事では生理中の大腸内視鏡検査について解説しています。

生理中でも出来るだけ安心して検査を受けられるように対策をすることはできるため、医師に勧められた場合は必ず検査を受けましょう。

『そもそも大腸内視鏡検査ってどんな検査?』

大腸内視鏡検査とは、内視鏡カメラを使って大腸の状態を見る検査です。よく大腸カメラと言われたりもしています。

肛門から内視鏡を挿入して大腸の壁を内側から観察することにより、がん、ポリープ、出血、炎症などの異常を早期発見することが目的の一つです。もし異常があった場合、状態によってはその場で悪い部分を切除することもできます。

大腸の中を詳しく調べるためには、一度腸にある便などを外に出し切って腸管内をきれいにする必要があるため、検査の前処置として下剤を内服します。

検査の前には何度かトイレに通って下痢をしてしまう可能性もあるため、あらかじめ把握しておくと不安になることなく検査に臨めるでしょう。

とくに普段から生理痛が重めの方にとっては、いつもの生理のような体調不良に加えて下痢や腹痛が起こることになります。

検査そのものだけでなく、前処置の段階から多少の苦痛を伴う可能性があることを分かっておくと、ある程度スムーズに進められそうですね。

前処置で腸管内をきれいにできたら、いよいよ検査です。

大抵は処置用のベッドで医師に背中を向ける形で横向きに寝てもらい、肛門から内視鏡カメラを挿入します。モニター画面に大腸の内壁が映し出されるため、それを確認しながら異常がないか調べていきます。

この時、大腸の部位と状態によっては痛みが生じる場合もあります。

なぜ痛みが生じるのかというと、大腸は部位によって伸び縮みしやすく、ある程度自由に動けるようになっている部分があり、その部分に内視鏡が入るとき大腸の内壁にぶつかって腸管内に圧がかかると痛みが発生するからです。

原則検査中は普通に受け答えができるため、痛みを感じたら遠慮なくお伝えください。

痛みの心配があるときはあらかじめ鎮痛剤または鎮静剤を使いながら検査をすることも可能です。

その場合は点滴を入れて検査することになるでしょう。

検査終了後はお薬が処方されることもあるため、医師の指示通り必ず飲み切りましょう。

『大腸内視鏡検査は生理中でもできるの?』

検査自体は生理中でも問題なく実施できます。

大腸内視鏡検査はその名の通り大腸を調べる検査であって、生理によって膣から出血している分には、出血している場所が大腸とは関係ないため検査に影響はないからです。

便の検査で生理の時は避けるように言われたことがあるかもしれませんが、それは便に血液が混ざっていた場合、肛門と膣のどちらから出血したものなのか判断がつかないからです。

大腸内視鏡検査なら医師がその場で実際に目視しながら検査するため、たとえ出血があったとしても生理による血液なのか、大腸内からの血液なのか、はっきり判断がつきます。

このような理由から、生理中に大腸内視鏡検査を行っても問題はありません。

しかしいくら検査結果に影響はないからといっても、生理中は体調が優れないことも多いため、検査を受ける身としては「本当に大丈夫なの?」と小さなことでも不安に思ってしまいますよね。

もし生理痛があったり貧血っぽくなったりして体調が悪い場合は、日程を調整できるため遠慮せずに相談して下さい。

上記で説明した通り検査自体に影響を及ぼすことはありませんが、体調が良くない状態で検査を受けるのは体が辛いし不安も増してしまうかもしれません。わざわざコンディションが整っていない日に検査することはないため、病院スタッフに連絡してみると良いでしょう。

『検査前に準備しておくことは?』

大腸内視鏡検査の前にあらかじめ準備しておくことは、生理かどうかにかかわらず実はこれといってありません。

検査の前にやっておいてほしいことは、検査前の診察の際に医師や看護師から伝えられるため、その通りに過ごしておけば大丈夫です。

『ナプキンはつけてもいいの?』

ナプキンは普段の生理の時と同様につけていて構いません。大腸内視鏡検査を受けるからといてって、特別なにか用意する必要はないため安心して大丈夫です。

あえて言っておくのであれば、普段使っているナプキンを少し多めに持ってくると安心です。

検査をするときは検査用の下着に着替えたり、お尻の下に処置用のシームを敷いたりして行うことが多いため、ナプキンはどんな種類のものをつけていても構いません。

もしくは少し前の方にナプキンをずらして装着することで、検査を妨げることなく、かつ経血で周りを汚さずに検査することも可能でしょう。

それでもナプキンに不安があれば、タンポンを使うのがおすすめです。

病院に行く前にあらかじめ自宅でタンポンを挿入しておけば、検査中に周りを汚してしまう心配がなく、また医師や看護師など検査する側としても簡潔に進められます。

紐が出ているのを見られるのが恥ずかしいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、あらかじめ看護師に伝えておくと良いでしょう。

医療従事者は見慣れているので、タンポンの紐が出ているところを見たとしても「タンポン入れてきてくれたんだな~」くらいにしか思わないため安心してください。

むしろ周りが汚れないため処置がしやすくてありがたいです。

タンポンが入っていることで検査に支障はありません。

『検査中に便がしたくなっても大丈夫?』

検査の前に下剤で大腸の内容物をきれいに排出していたとしても、内視鏡を入れたときの刺激で突然便意を催すこともあるかもしれません。

とくに生理中だと人によっては下痢や便秘になりやすく、排便コントロールが難しいこともありますよね。

もし検査の途中で便が出てしまったらどうしようと心配に思うかもしれませんが、最悪そのまま出てしまっても全く問題ありません。

検査中に便意を催してしまうのはよくあることで、防水のシートを敷いていることが多いため、検査に影響が出ないように準備にされているからです。

もし便が出そうになったら、まずは看護師や医師に声をかけて便意があることを伝えましょう。

周りにいる一番声をかけやすいスタッフで大丈夫です。そうすれば状況に合わせてどのようにすればいいか指示してくれます。

便が出る瞬間を人に見られるのは恥ずかしいかもしれませんが、医療従事者は全員見慣れているため気にする必要はありません。むしろそれが仕事みたいなものです。

『検査とはいえ恥ずかしい』

他人に肛門から異物を入れられて、しかも詳しく見られるのですから、恥ずかしさや恐怖を感じてしまうのは当たり前です。

恥ずかしさを理由に検査を受けるのを辞めようと思う人もいるかもしれませんが、絶対に受けた方が良いと言えます。

冒頭でも説明したように、将来の自分がどんな生活を送っているのかを想像したとき、万が一検査をせずに重大な病気を見落としていたら人生を棒に振ることになっているかもしれません。

恥ずかしいと思う気持ちは非常に分かりますが、一時的な羞恥心を乗り越えればこの先何十年ある時間を健康で快適に過ごすことができるのです。

また、あなたのことを大事にしてくれている家族や親、友達を安心させることもつながります。

もちろん病院ではプライバシーに配慮した処置を行い、できる限り女性スタッフが処置に入ります。

検査でじっくり見られるとはいえ、実際のところ医師が最も見ているのはモニター画面であり、肛門など恥ずかしい部分を直視している時間はそれほど長くないため気にすることはないのです。

検査を行う医師や看護師にとっては日常的な行為のため、朝起きて顔を洗うのと同じくらい自然なことであるため、恥ずかしがる必要はなにもありません。もう少しだけ気楽に検査しましょう。

『周りを汚してしまわないか心配』

汚れても大丈夫なようにあらかじめ看護師が準備をしてから検査を始めるため、なにも気にせず検査を受けても問題ありません。

事前に医師や看護師から言われたことがあれば、それだけ準備していきましょう。

上記でナプキンについて解説したときタンポンの使用をおすすめしましたが、どうしても汚れるのが心配ということであれば、事前にタンポンを入れておくと良いでしょう。加えて看護師にタンポンを使うことを検査前に伝えておけばスムーズです。

『検査のときの服装は?』

生理中の検査となると「服を汚しちゃわないかな」「スムーズに検査するには何を着ていけばいいかな」など服装の心配があますよね。

しかし服装に関してもほとんど心配する必要はありません。

当クリニックの場合はディスポーザブルの検査着を用意していますので、特に問題はありません。

強いて言うなら着替えやすい服装だと手間どうことなく検査に移ることができるでしょう。

具体的には上下が分かれている服装や、前開きのシャツであれば、着たり脱いだりしやすいためおすすめです。

『生理痛があって心配』

普段から生理痛が強い方であれば、検査当日に生理が重なってしまった場合、痛みが強くなったり検査の途中で具合が悪くなってしまったりしないか心配ですよね。

強い痛みが生じそうな場合や、もともと痛みに弱い方は、あらかじめ医師に伝えておいて鎮痛剤の使用を相談すると良いでしょう。

あまりにも痛みに耐えられない、または痛いかもしれないという恐怖が強くて検査が困難な方は、点滴で眠りながら検査受けることも可能です。

不安で胸いっぱいになりながら検査を受けるのは非常に苦痛となります。

痛みのことに限らず、できるだけ負担がなく安全に検査を実施するためには、ささいなことでも不安なことは医師に相談しておきましょう。

「こんなこと聞いてもいいのかな?」と思うかもしれませんが、生理痛のことだけでなくそれ以外に関することでも積極的に質問して大丈夫です。

検査前に不安点や疑問点を解決しておくことで、できるだけ少ない苦痛で検査をできるように対策することはできますが、それでも検査中に強い痛みがあったり体調が悪くなったりしたときは、我慢せずにすぐ言いましょう。

痛みに合わせて検査のペースを調整してくれたり、休憩しながら進めたりすることができるため、少しは楽に検査できます。

『生理中の大腸内視鏡検査でも大丈夫』

これまで生理中の大腸内視鏡検査について解説してきました。

内容をまとめると、次の通りです。

・生理中でも大腸内視鏡検査を行うことはできる。

・ナプキンは普段使っているものをそのままつけてきて大丈夫。

・恥ずかしいかもしれないけど、将来のことを考えると検査は必ず受けるべき。

・検査をするときは可能な範囲で女性スタッフが対応する。

・もし検査の途中で便が出てしまっても、汚れないように準備しているため問題ない。

・検査中に経血で汚してしまうのが心配であればタンポンを使うのも方法の一つ。

・特に服装の指定はないが、着脱しやすい服装であればよりスムーズに検査できる。

・検査中の痛みが心配な場合はあらかじめ医師や看護師に相談しておくと良い。

・生理痛など体調が悪い場合は検査の日付を変更することも可能。

実際に検査を受けるまでは色々なことが気になるけれど、分からないことや不安点について質問するのもちょっと恥ずかしいという心境になるかと思います。

「分からなくて当然」「不安になって当然」「恥ずかしくて当然」ですので、当クリニックのスタッフに気軽に声をかけてください。

生理中に大腸内視鏡検査を受ける場合の大まかなポイントはお伝えしましたが、人によって異なる場合があります。

何か分からないことがあれば担当の医師や看護師に直接聞いていただくようにお願いいたします。

生理中だとしても、ちょっとの勇気を出すことで少しでも快適に大腸内視鏡検査を受けていただけるようにしていきたいと思います。

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東京千住・胃と大腸の消化器内視鏡クリニック 足立区院 >>

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