胃腸に優しい食事を食べるコツ|自炊、中食、外食で使える

検査後のお食事

胃腸を休めたいとき、何を食べるべき?

胃が重い、食欲がない、食後に膨満感がある…。こうした胃腸の不調は誰にでも起こりうるものです。体と同じく、胃腸も日々の食事や生活習慣で疲れがたまり、機能が落ちることがあります。

そんなときは「胃腸に優しい食事」で整えることが大切です。カロリー制限ではなく、消化の負担を減らし、炎症や不調を悪化させない工夫がポイントになります。

この記事では、胃腸をいたわる食事の基本から、食材選び、調理法、外食や間食の工夫まで詳しく解説します。コンビニや外食中心の方にも実践しやすい内容です。

胃腸と全身の健康はつながっている

胃腸は消化・吸収を行うだけでなく、免疫機能の中心でもあります。実際、全身の免疫細胞の約7割が腸に集まっているともいわれています。また、腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、自律神経の影響を受けやすい臓器です。

ストレスで腹痛や便通の乱れを経験したことがある方も多いでしょう。これは腸と脳が密接につながっている証です。つまり、食生活を整えることは、心身のバランスを整えることにもつながります。

消化のプロセスと胃腸への負担

食べたものは口で噛まれ、唾液と混ざって胃に送られ、胃酸や酵素によって分解されます。その後、小腸や大腸で栄養や水分が吸収され、残りは便として排出されます。

この消化の流れは自然に行われますが、酵素や腸内細菌、腸の動きがうまく働かないと、すぐに不調が現れます。特に脂質や繊維が多い食材、香辛料などは、胃腸が弱っているときには避けた方が良いでしょう。

胃腸に優しい食事の基本5原則

1. 刺激物を避ける

唐辛子、こしょう、カレー粉、にんにく、しょうが、キムチなどの香辛料は、胃の粘膜を刺激し、胃痛や胃もたれ、胸焼けの原因となることがあります。また、緑茶や紅茶、コーヒーに含まれるカフェインも胃酸の分泌を活発にしすぎるため控えめにしましょう。

2. 脂質は控えめに

脂肪分の多い食品は、消化に時間がかかるだけでなく、胃に長時間とどまりやすくなります。バターやマーガリン、マヨネーズを使った料理、揚げ物、炒め物はなるべく避け、蒸す・煮る・茹でるといった調理法を中心にするのが効果的です。

3. 食物繊維は摂り方に注意

食物繊維は健康維持に欠かせない栄養素ですが、胃腸が弱っている時には控えめにする必要があります。特に「不溶性食物繊維」(ごぼう・玄米・きのこ・海藻類)は腸を刺激し、便秘や下痢を悪化させる場合があります。代わりに、加熱した野菜や果物など「水溶性食物繊維」を少量取り入れるとよいでしょう。

4. 味付けは薄めにする

濃い味付けは胃酸の分泌を刺激しすぎたり、塩分過多によって体に余計な水分をため込んだりする原因になります。素材の風味を活かし、出汁や薄口醤油、味噌などを上手に使って優しい味付けを心がけましょう。

5. 食材は柔らかく調理する

消化しやすさは、素材そのものの性質だけでなく、調理法や食材の状態にも左右されます。人参、大根、キャベツなども、煮込むことで繊維が柔らかくなり、胃腸への負担が軽減されます。また、肉や魚は小さめに切って加熱する、すりおろす、ペースト状にするなどの工夫も効果的です。

おすすめの食材と避けたい食材

おすすめの食材避けたい食材
白米のおかゆ、やわらかいうどん玄米、もち麦、全粒粉パン
鶏ささみ、白身魚、豆腐豚バラ肉、牛ステーキ、脂の多い魚(ブリ、サバ)
かぼちゃ、大根、にんじん(加熱)ごぼう、レンコン、キノコ類
りんご(すりおろし・加熱)、バナナ柿、パイナップル、ナッツ類
ヨーグルト(無糖)、半熟卵チーズ(脂肪多)、生卵、揚げ出し豆腐

調理法と食べ方のポイント

胃腸に優しい料理を作る上で、食材を選ぶだけでなく「どのように調理するか」「どのように食べるか」も大切な要素です。以下に、調理と食べ方に関する実践的なポイントを紹介します。

調理法

調理はなるべく油を使わず、蒸す・煮る・茹でるが基本です。特に煮込み料理は、食材が柔らかくなるうえに出汁の旨味も活かせるためおすすめです。揚げ物や炒め物は一時的に避け、香りづけには昆布だしや鰹だしを活用しましょう。

食べ方

咀嚼は消化の第一歩。しっかり噛むことで唾液と混ざり、消化酵素の働きが活性化されます。また、食事中はテレビやスマホを見ず、リラックスした状態でゆっくり食べることも大切です。1回の食事量を減らして回数を分ける「少量頻回食」も効果的な方法です。

外食・惣菜の選び方

毎日自炊ができるとは限りません。そこで、外食やコンビニ・スーパーの惣菜を使う際のポイントも押さえておきましょう。

避けたい外食メニュー

とんかつ定食、唐揚げ、天丼、ラーメン、担々麺、カレー、ハンバーガーなど、油・塩分・香辛料が多く使われているメニューは胃腸に負担をかけやすくなります。また、冷たいそばや冷やし中華なども、胃腸を冷やす可能性があるため避けるのが無難です。

おすすめの外食メニュー

かけうどん、卵雑炊、白身魚の煮つけ定食、茶碗蒸し付きの和定食、煮込みうどん、湯豆腐、味噌汁付きの軽定食などは、胃腸にやさしい選択肢となります。味付けが濃すぎないか確認するのも大切です。

おすすめの惣菜・コンビニ商品

ジャンル
主食白粥、おにぎり(梅・昆布)、やわらかいロールパン
タンパク源プレーンのサラダチキン、半熟ゆで卵、絹ごし豆腐
副菜かぼちゃの煮物、にんじんのグラッセ、大根の煮物
果物カットバナナ、蒸しさつまいも、りんごゼリー

飲み物と間食の選び方

飲み物

飲み物もまた、胃腸に影響を与える重要な要素です。冷たい飲み物、カフェイン入りの飲料、炭酸飲料、アルコールなどは、胃腸を刺激したり冷やしたりする要因になります。常温〜温かい白湯、麦茶、ハーブティー(カモミールやルイボスなど)が安心です。

間食

空腹を我慢しすぎて逆に胃酸が出過ぎると、胃が荒れてしまう場合があります。そうしたときに胃腸にやさしい間食を少量とることは有効です。たとえば、焼きりんご、煮バナナ、プレーンヨーグルト、寒天ゼリー、蒸しかぼちゃなどが適しています。

症状別に見る胃腸に優しい食事の工夫

胃腸の不調と一口にいっても、「胃もたれ」「腹痛」「下痢」「便秘」など、その症状によって適した食材や調理法は異なります。以下に代表的な4つのケースを取り上げ、それぞれに合った食事内容の考え方をご紹介します。

胃もたれや膨満感が続くとき

脂っこい食事や食べ過ぎによって胃の動きが鈍くなっている状態です。あたたかく柔らかい食事を選び、胃を刺激しない工夫をしましょう。

例:卵雑炊、かぼちゃの煮物、湯豆腐、具なし味噌汁、白湯

下痢が続くとき

腸の水分吸収がうまくいかず、過敏になっている可能性があります。食物繊維や乳製品、冷たい飲食物を避け、やさしく整える内容にしましょう。

例:白がゆ、すりおろしりんご、葛湯、にゅうめん、煮バナナ

便秘がちのとき

腸の動きが滞っていることが多く、便を柔らかくする水分と、刺激しすぎない「穏やかな繊維」が効果的です。いきなり食物繊維を増やすと逆効果になるため、加熱野菜を中心にしましょう。

例:温かいスープ、さつまいも、加熱キャベツ、かぼちゃポタージュ、ヨーグルト

胃痛・胃炎があるとき

胃の粘膜が炎症を起こしている可能性があり、非常に繊細な状態です。冷たいもの、刺激物、アルコール、カフェインなどは厳禁。とにかく優しい食材で回復を促しましょう。

例:白がゆ、具なしスープ、茶碗蒸し、とろろ、豆腐スープ

1日の胃腸にやさしい献立例

朝食

・温かい白がゆ(梅干しか卵を添えて)
・具なし味噌汁
・常温の麦茶または白湯

昼食

・やわらかいうどん(ねぎやとろろ少量)
・大根とにんじんの煮物
・蒸しかぼちゃのマッシュ

間食(15時頃)

・寒天ゼリーまたはすりおろしりんご
・白湯またはノンカフェインハーブティー

夕食

・湯豆腐+小松菜の煮びたし
・白身魚のやわらか煮
・ご飯少量(または粥)
・具なし味噌汁

コンビニでもできる胃腸サポート

自炊が難しい場合でも、コンビニの工夫次第で胃腸にやさしい食事を実践することができます。

主食

・白がゆ、梅おにぎり、ゆかりおにぎり

たんぱく質

・プレーンのサラダチキン、半熟卵、茶碗蒸し、絹ごし豆腐

副菜

・大根やかぼちゃの煮物、おでん(大根・卵・こんにゃく)、温野菜サラダ

果物・間食

・蒸しさつまいも、バナナ、りんごゼリー、プレーンヨーグルト

胃腸を守る生活習慣

胃腸を労わるには食事だけでなく、生活全体を整えることが欠かせません。

睡眠をしっかりとる

深夜0時前に就寝し、6~7時間の睡眠を確保しましょう。副交感神経が働くことで、腸の動きがスムーズになります。

食事時間を一定に保つ

食事の時間がバラバラだと、自律神経のリズムも乱れ、消化機能に悪影響を与えます。できるだけ決まった時間に食べましょう。

軽い運動を習慣にする

ウォーキングやストレッチは腸の蠕動運動を活性化させ、便通を改善するのに役立ちます。

ストレス対策

腸はストレスの影響を非常に受けやすい器官です。深呼吸、音楽、アロマ、短時間の瞑想などでストレスを和らげることが大切です。

検査食の応用活用

内視鏡検査の際に用いられる「検査食」は、消化吸収に配慮されたバランス食であり、胃腸が弱っているときの回復食として非常に有効です。

味も工夫されていて、最近では和風・洋風など種類も豊富です。自宅にストックしておくことで、急な体調不良の際にも安心です。


検査食の例

便潜血で引っかかった方へ

胃腸にやさしい食生活は、がんやポリープの早期発見・再発予防にもつながります。健診で「便潜血陽性」と出た方や、内視鏡検査を勧められた方は、日常生活の見直しも非常に重要です。


Doctors File バナー:便潜血と大腸ポリープ

ドクターズファイルで詳しく解説しています。
大腸ポリープ・大腸がんの早期発見の大切さをご確認ください。

まとめ

胃腸にやさしい食事は、単なる「体調不良時のごはん」ではありません。

  • 日々のストレスや不規則な生活で疲れた胃腸をリセットする食事
  • 消化吸収の効率を高め、体の回復力を底上げする習慣
  • 腸内環境を整え、免疫力や心の安定にもつながる基盤

特別な材料や調理器具がなくても始められる内容ばかりです。体の声に耳を傾けながら、無理のない範囲で少しずつ取り入れていくことが継続のコツです。

ぜひ、今回の記事を参考に、「やさしさ」が胃腸から全身へ広がっていくような食事の時間を取り入れてみてください。

※この記事は2022年6月17日に公開された内容を、2025年4月22日に最新の情報に基づき加筆・修正しました。

尚視会での内視鏡検査・診察は24時間予約を承っています。

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