大腸がんとは
大腸がん全体の7割は、肛門に近いS状結腸や直腸に発生するとされています。大腸がんは欧米化した食事による発症リスクが高いことがわかっていて、日本では発症率が増加傾向にあり、がんによる死亡原因としても長年上位を占めています。ほとんどの大腸がんは良性腫瘍である大腸ポリープから発生します。そのため、大腸ポリープの段階で切除できれば将来の大腸がん予防につながります。また早期の大腸がんを発見できた場合も、内視鏡による切除でほとんどが完治可能です。
早期の大腸がんは粘膜表面に発生し、徐々に下層に広がって筋層に達すると進行がんになり、進行がんはやがて転移します。大腸ポリープから大腸がんの発生までは時間がかかることが多く、大腸がんの進行も比較的ゆっくりしています。大腸ポリープや早期の大腸がんは自覚症状を起こすことが少ないため、予防や早期発見には自覚症状のない段階で大腸カメラ検査を定期的に受けることが有効です。
大腸がんの原因
リスク要因には、動物性の脂肪やタンパク質の過剰摂取、食物繊維の不足、肥満があり、遺伝も関与するとされています。実際に、日本で食の欧米化が広がるに連れて大腸がんの発症者数が増加しています。また、大腸粘膜の炎症が長期間続くと大腸がんが発生しやすくなります。潰瘍性大腸炎やクローン病など、大腸に慢性的な炎症を起こす疾患がある場合、定期的な大腸カメラ検査が不可欠です。
早期発見のために、リスクが上昇しはじめる40歳になったら、症状がなくても大腸カメラ検査を受けるようお勧めしています。
大腸がんの症状
早期大腸がんや前がん病変の大腸ポリープは、自覚症状を起こすことがほとんどありません。進行しても症状を起こさないこともありますが、便潜血検査陽性で大腸カメラ検査を受けた場合、前がん病変の大腸ポリープが発見される確率が30%程度とされています。健康診断や人間ドックで便潜血検査陽性を指摘されたら、早めに消化器内科を受診して大腸カメラ検査を受けてください。ただし、便潜血検査は進行した大腸がんがあっても陰性になる場合があります。陰性だから安心というわけではないことにご注意ください。
大腸がんが進行すると、下痢、便秘、腹痛、血便、下血、膨満感、嘔吐などを起こします。他の大腸疾患でもよくある症状ですので、こうした症状があった場合にはできるだけ早く消化器内科を受診して確定診断を受けましょう。
当院の大腸がん検査
早期の大腸がんや将来がん化する可能性のある大腸ポリープ発見が可能な唯一の検査が大腸カメラ検査です。大腸カメラ検査では大腸全域の粘膜をすみずみまで詳細に観察できます。当院では特殊光や拡大、画像処理などの高度な機能を搭載した最新の内視鏡システムを導入していますので、がん特有の周囲の血管状態などを強調表示することができ、微細な病変の発見も可能です。また大腸カメラ検査では、疑わしい組織を採取して回収できますので、病理検査を行って多くの疾患の確定診断が可能です。さらに、検査中に前がん病変の大腸ポリープが発見された場合には、その場で切除する日帰り手術が可能です。ポリープの形状や大きさなどにきめ細かく合わせた手法を用い、安全性の高い切除を行っています。当院の検査はすべて熟練した専門医が丁寧に行っており、患者様への負担を軽減するためにきめ細かく配慮、工夫しています。また、鎮静剤を使って軽く眠っているようなリラックス状態で検査を受けていただくことも可能です。
日帰り大腸ポリープ切除手術
大腸カメラ検査中に発見した大腸ポリープは、その場で内視鏡により切除して将来の大腸がん予防につなげています。入院や別の日に改めてスケジュールを作る必要もなく、事前の食事制限や下剤服用も1回で済みます。検査後は30分程度リカバリースペースでお休みいただく必要はありますが、その後は検査結果の説明を受け、ご帰宅いただけます。