胆嚢炎とは
胆嚢炎は胆嚢に炎症が起こることが原因で起こります。
胆嚢炎になると、発熱、腹痛(右の上腹部である季肋部の痛み)、悪心・嘔吐、時に黄疸などの症状が起こります。胆嚢炎の特徴的な徴候としてMurphy’s signというものがあります。Murphy’s signは、「炎症のある胆嚢の部位(右の上腹部)を他の人が手で触ると、痛みを訴えて呼吸を完全に行えなくなる」状態のことを言います。
ただし高齢者では、Murphy’s signがでない方も多く現在ではあまり使われなくなっている診断方法の一つとなっています。
胆嚢炎の原因
胆嚢炎は、胆嚢結石や細菌感染が主な原因となります。胆嚢結石の場合は、胆嚢内にある石が胆嚢の出入り口の胆嚢管という細い管に詰まることにより胆嚢内の胆汁の行き場が無くなることで起こります。
細菌感染は、胆管との連続がある十二指腸からの感染である逆行性感染という形で起こることが多いです。
当院の検査方法
診断は、問診・触診・採血検査・腹部エコー・CT・MRIなどで行います。採血検査では、白血球やCRPといった炎症マーカーの上昇、肝機能やビリルビンといったものの値に異常がでます。腹部エコーでは、胆嚢の腫大といって胆嚢が大きくなっていたり、胆嚢の壁が肥厚といって厚くなっていたりといった所見が見られます。
また、胆嚢炎には胆管炎が合併することもあり慎重な診断が必要となります。胆管炎は命に関わることがあるご病気の一つで診断が困難なことがあります。身体所見や画像検査などから慎重に診断していく必要があります
上腹部痛・発熱などのある方は専門外来でご相談ください
胆嚢炎が重症化すると壊疽性胆嚢炎という状態になります。壊疽性胆嚢炎は、胆嚢壁が壊死し出血などが合併することがあります。また、胆嚢周囲に炎症が広がり膿瘍ができ重篤化し命にかかわることがあります。
胆嚢炎の治療は、絶飲食で抗生剤を投与することで経過をみます。胆嚢の壁に穴が開いた穿孔という状態などの場合には緊急で手術を行うこともあります。
以前に胆石症・胆嚢結石と言われている方で右の上腹部痛・発熱などのある方は、一度専門外来でご相談ください。